2025年の海外旅行市場動向:若い世代の旅行費用高騰への適応と今後の展望

JTBが発表した「JTB海外旅行レポート2026」は、2025年の日本人による海外旅行市場の現状と将来的な見通しを詳細に分析しています。この年次報告書は、JTB総合研究所による独自の調査と公的統計に基づき、市場の構造と動向を明らかにするもので、今回で39回目の発行となります。報告によると、2025年の海外渡航者数は前年比で13.3%増加し、合計1473万2000人に達しました。これは着実な回復を示しているものの、2019年の水準と比較すると26.6%減少しており、海外旅行需要の本格的な回復にはまだ時間を要することが示唆されています。
特に注目すべきは、世代ごとの海外旅行への意識と行動の違いです。全人口に占める海外渡航者の割合を示す出国率は、2025年には12.0%となりました。その中でも、20代女性の出国率は34.0%と他のどの性年代層よりも際立って高く、この層が海外旅行市場の回復を牽引していることが明らかになりました。20代後半の女性に限ると、出国者数は2019年とほぼ同水準まで回復しています。対照的に、20代から50代の男性の出国者数は、昨年に引き続き伸び悩む結果となりました。
また、同レポートに収録されている2026年の「海外旅行志向調査」では、旅行費用の高騰に対する旅行者の考え方が浮き彫りになりました。調査結果によると、「費用が高いと感じたが、特に計画を変更せずに行った」と回答した割合は、30歳未満の男性で低く、費用に対する敏感さがうかがえます。具体的には、「旅行期間を短縮する」「同等の目的地で費用を抑えられる日程を探す」「予算内で楽しめる海外目的地を選ぶ」といった方法で費用高騰に対応する傾向が、他のセグメントと比較して若い世代に顕著に見られました。全体的な傾向として、女性よりも男性、そして年齢が若い世代ほど、旅行計画の見直しによって増加した旅行費用に適応しようとする姿勢が強いことが示されました。
この分析は、海外旅行市場が回復の途上にある中で、特に若い世代、中でも20代女性が重要な役割を果たしていることを強調しています。一方で、男性層の需要回復には課題が残されており、今後の旅行商品の開発やプロモーションにおいて、これらの性年代別の特性を考慮した戦略が求められるでしょう。旅行費用の高騰という共通の課題に対し、若年層が柔軟に対応している点は、市場の新たな動向として注目に値します。