「HaaT」の「SAKIORI」コレクション:日本の伝統技術と現代ファッションの融合

日本の古くからの手仕事の知恵が息づく「裂き織り」技法を現代のファッションへと昇華させた「HaaT」の「SAKIORI」コレクションが発表されました。このコレクションは、ゆっくりと丹念に織り上げられることで、他に類を見ない軽やかな着心地と独特の風合いを持つ衣服を生み出しています。現代的な感性と日本の伝統的な美意識が融合した、新たなファッションの物語がここに紡がれています。
この「SAKIORI」コレクションは、10月に「HaaT」から発表されたもので、その名称は江戸時代中期に日本で広まった「裂き織り」の伝統的な技法に由来しています。ディレクターを務める皆川魔鬼子氏は、「シーズンごとに、日本の伝統的な技術や手仕事をファッションに取り入れたシリーズを制作しています」と語ります。皆川氏は1970年代初頭から、故・三宅一生氏の右腕として「イッセイ ミヤケ」においてテキスタイル開発に貢献してきました。その経験から、日本の伝統的な素材と技法を世界に通用する日常着として発信することを目指し、各地の優れた手仕事を探求してきました。今シーズンは、古い布を細く裂いて再び織り上げるという、持続可能性に富んだ「裂き織り」の技術に焦点を当てています。
皆川氏は幼い頃の記憶を振り返り、「田舎で祖母たちが使う手織り機には、残った布を裂いて作った糸や、横糸として使われた帯など、あらゆる色や素材の糸が混じり合い、その織物から手仕事の温かさを強く感じました。その時に、いつか自分もそのような織物に触れ、身につけてみたいと思ったのです」と述べます。この「SAKIORI」シリーズの生産は、古いションヘル織機を巧みに操ることができる尾州(びしゅう)地方の工場で行われています。現代の高速織機では不可能な、縦糸と横糸の太さの大きな差を均一に織り上げる技術は、古い織機と熟練した職人の手によってのみ実現可能です。
皆川氏は、複雑な織物を作る際には必ず工場へ足を運び、自身の目で現場を確認することを重視しています。「作業環境に埃や糸くずがないか、織機が油まみれになっていないかなど、細部まで確認します。60年以上前の機械を適切に稼働させるためには、メンテナンスが行き届いた環境が不可欠だからです」。時間をかけてゆっくりと織り上げるため、一日に生産できる量は限られています。尾州地方では、希少な機械を扱い、高度な技術を持つ職人は「匠」として尊敬されていますが、その数は減少傾向にあります。皆川氏は、この貴重な技術の継承と次世代の育成を喫緊の課題と考えています。完成した「SAKIORI」のジャケットは、ふっくらとした質感でありながらも非常に軽やかな着心地が特徴です。皆川氏は、「手に取って触れたくなるような、手間暇かけて作られた素材の服を通じて、日本の伝統技法を広く紹介したい。同時に、現代のライフスタイルに寄り添うリアルクローズとしての価値も大切にしています」と語っています。
このコレクションは、皆川魔鬼子氏の長年の経験と、日本の伝統技術への深い敬意が結実したものです。三宅一生氏から受け継いだ日本のものづくり精神と、持続可能性という現代的なテーマが融合し、手仕事の温もりと革新性を兼ね備えた唯一無二の衣服として、私たちの日常に新たな彩りを与えてくれることでしょう。