JATAと韓国観光公社、共同で韓国観光を促進 - 若年層・地方誘致を強化

日本旅行業協会(JATA)と韓国観光公社が連携し、新たな韓国観光振興策を発表しました。パスポート発給手数料の引き下げを追い風に、「初めての韓国旅行応援キャンペーン」を展開し、これまでソウルに集中しがちだった観光客の地方への誘致を強化するとともに、新たな旅行客層の開拓を目指します。この取り組みは、旅行会社を通じた送客の重要性を再認識し、個人手配では得られない付加価値を提供することで、韓国旅行市場のさらなる活性化を図るものです。
7月23日にJATA本部で行われた定例会見では、アウトバウンド促進協議会(JOTC)の東アジア部会韓国ワーキンググループ座長である本多寿彦氏と、2026年2月に韓国観光公社日本地域センター長兼東京支社長に就任した鄭槿喜氏らが登壇しました。2026年上半期の日本人海外旅行市場は前年比105.3%と回復基調にあり、特に韓国への送客数は前年同期比120.4%を記録し、市場全体の牽引役となっています。
しかし、2025年の訪韓日本人旅行者数が過去最高の約366万人に達する一方で、旅行会社を通じた企画商品の利用客数は減少傾向にあり、「旅行会社離れ」が課題として浮上しています。本多氏は、この背景にはソウルへの観光客の一極集中があると指摘。ソウルでは航空券やホテルの個人手配、配車アプリの利用が容易であるため、旅行者が自由に旅程を組める環境が整っていることが、旅行会社離れの一因と分析しています。
こうした状況を打開するため、JATAと韓国観光公社は2026年度、「地方誘客の拡大」と、新規パスポート取得者層をターゲットにした「初めての韓国旅行(初韓)応援キャンペーン」を二大戦略として推進します。キャンペーンは、7月1日から日本のパスポート発給手数料が引き下げられたことを機に、12月まで実施されます。初めて韓国を訪れる旅行者(またはそれに準ずる人々)を対象に、対象ツアーの旅行代金から1人あたり最大5000円が支援される内容で、すでに7月初旬時点で60以上の商品がエントリーしています。
韓国観光公社東京支社の白慧眞次長は、このキャンペーンが新規パスポート取得者だけでなく、久しぶりに韓国へ行く人や、過去に訪韓経験があっても今回訪問する地域が初めてという人も対象に含まれると説明しました。旅行者自身が申請手続きをする必要はなく、各旅行会社がキャンペーン条件に合致する商品を造成し、韓国観光公社の認定を受けたツアーを申し込むことで割引が適用される仕組みです。具体的な支援額は、大都市圏(成田・羽田・関空・セントレア・福岡)発着で韓国の地方観光を含む商品、または日本の地方空港発着のツアーでは最大5000円引きとなり、大都市圏発着でソウル・京畿道・仁川の観光ツアーの場合は最大3000円引きが適用されます。
さらに、キャンペーンの広報活動として、草彅剛さんのYouTubeチャンネル「ユーチューバー草彅チャンネル」で「はじめての海外ロケ in 韓国」と題した動画が6月に公開されました。この動画では釜山を訪問し、初めての韓国旅行者でもグルメやショッピングを楽しめる観光スポットを紹介しており、幅広い世代へのアピールを図っています。
中東情勢の影響による燃油サーチャージの高騰や出国税の値上げなど、海外旅行需要の鈍化が懸念される中、鄭槿喜氏は、「日本からわずか2〜3時間でアクセスでき、週末でも十分に楽しめる気軽さ、そして現在の為替状況における価格面の魅力が、韓国旅行の大きな強みとなる」と強調し、韓国旅行が提供できる高い満足度と価値に自信を見せました。
ソウル一極集中を緩和し、地方の魅力を発信するため、2019年の「韓国絶品グルメ30選」、2025年の「韓国絶景30選」に続くシリーズ第3弾として、2026年には「韓国小都市30選」が新たに発表されました。この選定は、国際空港や主要駅からのアクセスが良く、ドラマのロケ地や祭り、郷土料理といった魅力を持つ、韓国人に人気の観光地が基準とされています。JOTC韓国ワーキンググループの会員旅行会社の専門家たちが選定に加わり、その中から特に総合評価の高い「ベスト10選」も制定されました。会見では、全州(チョンジュ)、麗水(ヨス)、江陵(カンヌン)、安東(アンドン)などの地域が例として挙げられ、これらの地域では古都散策、韓国式庭園、海岸旅行、レトロな街並みなど、「まち歩き」をテーマにした旅行スタイルが提案されています。2026年にはSNSプロモーション動画を中心に情報発信を行い、2027年には本格的な旅行商品化を目指しています。
また、毎年恒例となっている「咸安 落火ノリ」の日本人限定イベント(ジャパンデー)は、2026年10月15日19時から無尽亭(ムジンジョン)で開催されます。第3回目となる今回は、過去最大の1500名以上の日本人観光客の集客を目標に、各旅行会社がツアー商品を販売しています。さらに、新たな地方コンテンツとして、慶尚北道安東(アンドン)市のユネスコ世界遺産「河回村(ハフェマウル)」で行われる伝統行事「河回船遊ジュルブルノリ」が紹介されました。これは朝鮮時代の貴族文化に由来する船遊びと伝統花火が融合した幻想的な行事で、2026年5月に開催された日韓首脳会談で両首脳が鑑賞したことで再注目されています。今後は、このような地域固有の特別な体験を、日本の旅行会社と連携して商品化していく計画です。
日本旅行業協会と韓国観光公社の協力は、パスポート発給手数料の引き下げを契機に、新たな旅行者の獲得と、これまで以上に多角的な韓国の魅力を伝えることを目指しています。ソウルだけでなく、韓国各地の個性豊かな観光資源に焦点を当てることで、「旅行会社離れ」という課題を克服し、持続可能な観光交流の発展に貢献するでしょう。このような取り組みを通じて、燃料費高騰などの逆境にも負けず、韓国旅行が日本市場において魅力的な選択肢であり続けるための努力が続けられています。