Z世代富裕層の旅行傾向:パーソナライズされた体験と深化する旅の価値

新時代のラグジュアリー旅行:Z世代が描く旅のビジョン
Z世代富裕層の旅行スタイルと重視する要素
マリオット・インターナショナルが「Beyond the Gen Z Myth and the State of Luxury Travel in APEC」と題するレポートを発表しました。この調査は、中国を除くアジア太平洋地域の8カ国(日本、オーストラリア、インド、インドネシア、シンガポール、韓国、タイ、ベトナム)におけるZ世代富裕層の旅行動向を分析したものです。調査結果から、Z世代は旅行プランの受け手ではなく、自ら計画立案から手配までを行う主体的な旅行者であることが浮き彫りになりました。回答者の半数が自身の旅行を完全にオーガナイズしており、旅行の同伴者としては「家族」と「5人以下の友人グループ」が同率で最も多く、特に少人数での友人旅行が前年比で17%増加していることから、友人との体験共有への関心の高さが伺えます。
旅行先選択の決め手と旅への不満
Z世代富裕層が旅行先を選ぶ際に最も重視するのは、「異文化への没入や地域コミュニティとの交流」であり、87%がこれを重要視しています。次いで「食の発見」(86%)、「自然との触れ合い」(86%)、そして「ウェルネス」(85%)が重要な選択要素として挙げられています。一方で、彼らは旅行における時間の無駄やコミュニケーション不足に不満を抱いており、移動やサービスにおけるストレスのないスムーズな体験を求めていることが明らかになりました。また、回答者の23%が旅行のインスピレーションを得たり情報収集を行ったりするためにAIツールを利用しており、テクノロジーの活用がこの世代の旅行において不可欠な要素となっていることも示されています。
ラグジュアリー志向を形作る4つの顧客像
このレポートでは、Z世代のラグジュアリーに対する志向を4つのタイプに分類しています。「伝統愛好家」(34%)は、ホスピタリティの本質である評判、サービス、職人技を重んじます。「ウェルネス投資家」(30%)は、旅を自己の健康への投資と捉え、心身のリフレッシュを求めます。「静寂の探求者」(20%)は、日常の喧騒から離れ、デジタルデバイスとの距離を置いて静かな時間を過ごすことを望みます。そして「文化の回帰者」(16%)は、自身のルーツを辿り、人との深いつながりを育む体験に価値を見出します。これらの多様な志向は、ラグジュアリー旅行が単一の概念ではなく、個々の価値観によって細分化されている現状を示しています。
旅行の価値観の変化と今後の業界戦略
アジア太平洋地域の富裕層全体では、旅行回数を減らし、一度の旅行の滞在期間を長期化させる傾向が見られます。今後、長距離の海外レジャー旅行の平均滞在日数は、7泊から9泊へと伸びると予測されています。これは、旅行の価値基準が「頻度」から「体験の深さ」へと移行していることを示しています。この変化に対応するため、旅行業界はZ世代を一つの均一なグループとして捉えるのではなく、各々の旅行動機に応じたオーダーメイドの体験をデザインし、パーソナライゼーションとサービスのスムーズさを両立させることが、将来的な成功の鍵となるとレポートは結論付けています。