アドラー心理学によるチームマネジメント:問題解決思考から解決志向へ

アドラー心理学で拓く、主体性あふれるチームの未来
「部下が動かない」悩みへのアドラー的処方箋
「何度説明しても部下が自主的に行動しない」「褒めても成果に繋がらない」といった、多くの上司が抱える共通の課題に対し、アドラー心理学が根本的な解決策を提供します。この連載は、その教えをビジネスの現場に応用し、部下の潜在能力を引き出すための実践的な方法を提示するものです。
チーム運営における「解決志向」の導入
個人指導の場だけでなく、チーム全体を導くマネジメントにおいても、「ソリューションフォーカス(解決志向)」の考え方は非常に有効です。チームが目標を達成できなかった際、一般的な「プロブレムフォーカス(問題思考)」では、「なぜ失敗したのか」「何が問題だったのか」といった原因究明に終始しがちです。
「問題思考」が招く負の連鎖
「問題思考」のアプローチは、プレゼン資料の質や訪問件数の不足といった具体的な原因を特定できる一方で、「能力不足」「やる気の欠如」といった結論に繋がりやすい傾向があります。時には、責任の所在を巡る「犯人探し」へとエスカレートし、ミーティングが謝罪と萎縮の場と化すことも少なくありません。このような状況では、メンバーの士気が低下し、生産性の低い議論に終始してしまいます。また、過去に焦点を当て続けるため、新たな打開策が生まれにくいという弱点も抱えています。
「解決志向」が導く前向きな未来
対照的に、「解決志向」のアプローチでは、「今期は何がどれだけ達成できたのか」「次にどこを目指すべきか」「そのために何をすべきか」といった問いに焦点を当てます。例えば、「70%は達成できた。あと〇〇万円積み増せば100%になる」という具体的な成果を認識し、「そのためには、このようなキャンペーンを企画してみてはどうか」「以前好評だった告知コピーを再度〇〇さんに担当してもらおう」といった前向きなアイデアが活発に生まれます。
共同体感覚と自主性の醸成
このような建設的な対話が生まれる場こそ、アドラー心理学が提唱する「共同体感覚」を育む環境であり、各メンバーが自主性を発揮できる理想的な状態です。チームが「現在何ができていて、次の一歩はどこにあるのか」という視点を持つことで、自らの力で具体的な解決策を生み出し、持続的な成長へと繋がっていくのです。
アドラー心理学で部下を育む
本書『「アドラー」だから自分で動ける部下が育つ 上司の教え方』は、15年間で1万人以上のビジネスパーソンを指導してきた著者が、アドラー心理学の核心である「相互尊敬・相互信頼」「勇気づけ」「共同体感覚」といった概念を、ビジネスの教育現場で実践的に活用するためのノウハウを提供しています。永藤かおる氏によるこの書籍は、ディスカヴァー・トゥエンティワンから1,870円で販売されています。