あうとどあぼうけん

オーダーメイドバックパック「ハルマキパック23ℓ」:山好きを魅了するフィット感と個性

近年、国内外でガレージブランドへの関心が高まり、アウトドア愛好家たちは、機能的なアパレルやギアを賢く取り入れるようになりました。こうした新たなトレンドの中で、登山に情熱を傾ける人々がどのような新興ブランドの製品に注目しているのかを探るべく、今回は特にバックパックに深い造詣を持つ山田敏浩さんの装備をご紹介します。彼の選択は、既成概念にとらわれない新しい山の楽しみ方を提案しています。

埼玉県に暮らす山田さんは、2013年から愛犬と共に里山を巡り、家族とは百名山へと足を延ばしています。彼は春には奥武蔵や奥秩父、奥多摩で静かな尾根歩きを楽しみ、夏にはアルプスでの縦走を主としています。彼の登山スタイルは、単にピークを目指すのではなく、山中で過ごす穏やかな時間を大切にするものです。これまでの多種多様なバックパック遍歴を経て、10年前に負った怪我をきっかけに装備の軽量化(UL化)を進め、最近ではハヤミデザインが手掛けるカスタムオーダーの「ハルマキ」を深く愛用しています。

この「ハルマキパック23ℓ」は、一枚の生地を巻いて形成される独特の構造が特徴です。軽量でありながら、重心が肩甲骨付近に自然に乗るように上部にボリュームを持たせた設計により、長時間にわたる山行でも身体への負担を軽減します。価格は28,000円から38,000円で、容量は23リットル、重さは約240グラムです。この製品の最大の魅力は、その比類ないカスタム性。他のカスタムメーカーと比較しても群を抜く100種類以上の生地から選べ、ユーザーの体型や好みに合わせて、背面長は2〜3cm刻みで調整可能、ショルダーの硬さや縫い付け角度まで細かく対応してくれます。デザイナー自身が毎週のように山を歩き、ユーザーの声に耳を傾け、製品改良に反映させているため、シンプルな設計にもかかわらず、その背負い心地は格別です。山田さんは、最低限の安全性さえ確保できれば、山道具にはもっと遊び心があっても良いと考えています。昨年夏には、この「ハルマキ」にテント泊装備を詰めて五色ヶ原から立山三山、奥大日岳へと2泊3日の縦走を敢行。お気に入りのギアを背負っているという喜びが、60歳を目前にしてもなお、何時間でも歩き続けられる原動力になったと語っています。

このバックパックには、山田さんならではの「ちょっとダサい」というこだわりが込められています。オーダー当時、ハイテク素材が全盛でしたが、あえてレトロな素材であるダイニーマグリッドのリップストップナイロン生地を本体に選び、ポケットもULで多用されるメッシュではなく、普通のナイロン生地で仕上げたそうです。自身の還暦祝いとして作られたこのバックパックは、彼にとって格別な思い入れのあるアイテムであり、道具を選ぶ楽しみと、それがもたらす心の豊かさを象徴しています。性能だけでなく、愛着や気分が登山体験に与える影響は計り知れません。自分に合った道具を見つけることは、山での充実した時間への第一歩となるでしょう。

SPECIALIZED S-WORKS TARMAC SL9:GT3レーシングカーのような性能進化

SPECIALIZEDが発表したS-WORKS TARMAC SL9は、その卓越した性能でロードバイク界に新たな基準を打ち立てます。徹底したシミュレーションに基づく設計は、まるでGT3レーシングカーのような走行体験を提供し、ライダーのパフォーマンスを最大限に引き出すことを目指しています。

新世代のロードバイク:TARMAC SL9が切り拓くレーシングの世界

S-WORKS TARMAC SL9:究極の進化を遂げた一台

SPECIALIZEDが送り出す第9世代のピュアレーシングロード、S-WORKS TARMAC SL9は、「すべてを制覇する」というコンセプトを掲げ、さらなる進化を遂げました。この最新鋭マシンは、ゴールまでの時間を短縮することに特化し、綿密なシミュレーションを重ねて開発されました。日頃からTARMAC SL7を愛用し、厳しい環境でバイクを限界まで使いこなす「せいちゃん」が、前作SL8との比較試乗を通じて、その真髄を深く掘り下げていきます。

最新トレンドを反映したパーツアッセンブル:世界基準のパッケージ

試乗用に準備されたS-WORKS TARMAC SL9の52サイズには、驚くべきパーツ構成が採用されていました。クランク長は165mm、ハンドルはブラケット部が380mmと狭く、下ハンドルに向かって広がるフレア形状です。これは、ワールドツアーで主流となっている最新のセッティングトレンドを明確に反映したものです。股関節の動きを最適化し、ペダリング効率を高めるショートクランクと、前面投影面積を削減し、空気抵抗を最小限に抑えるナローハンドル。プロ選手たちがこぞって採用するこれらの機材最適化が、完成車の状態で手に入るのです。このパッケージングからは、「最新のレースで勝利するための機材」としてのメーカーの並々ならぬ本気が感じられます。

SL8からの劇的な変化:レーシーなフィーリングの向上

前作S-WORKS TARMAC SL8との比較試乗を行いました(ただし、SL8の試乗車はホイールがRapide CLX Sprintのクリンチャー仕様であり、足回りの条件は完全に同一ではありません)。メーカーの事前説明では、「SL9のフレーム剛性はSL8と変わらない」とされていましたが、実際に乗り比べてみると、その印象は大きく異なります。SL9はSL8と比較して「非常にレーシーなバイクになった」というのが第一印象で、ペダルを踏み込んだ際の体感は明らかに「硬い」ものでした。特にフロント周りのソリッドさには驚かされます。ダンシングでバイクを左右に振る際や、高速でコーナーに進入しハードブレーキングを行う際にも、フロントエンドが全くよれることなく、まるでカミソリのように路面を切り裂いていく感覚があります。この強力なフロント剛性感は、空力性能を追求し、全く新しい形状へと生まれ変わった「Flow Fork(フロー・フォーク)」や、新たなチューブ形状がもたらす恩恵でしょう。ベンチテストにおける数値上の剛性が同じであっても、実際のライディングで応力がかかった際のフレームの挙動や、ライダーが「感じる」硬さが、これほどまでに変化することに感銘を受けました。

see_more

五島列島・福江島の鬼岳:新たな山の魅力の探求

日本百名山を制覇した筆者は、その壮大な目標達成後に新たな登山の喜びを模索し始めました。再び百名山に挑戦する選択肢もありましたが、彼女の心は船で訪れる離島の山々や、特定の植物を追いかける山旅へと向かいました。この探求は、大きな目標を達成したことで得られた新たな視点であり、これまでの登山とは一線を画す楽しみ方を提供します。本稿では、筆者が近年魅力を感じている山々とその特色について、不定期連載の第一回としてご紹介します。

八年前の八重山諸島への訪問以来、筆者は離島の魅力にすっかり取り憑かれ、百名山を完登した暁には、のんびりと島々を巡る旅を計画していました。自家用車での旅行を好む筆者にとって、旅先の選定基準は「フェリーで車と一緒に渡れること」でした。この条件を満たす場所として、以前から関心を寄せていた五島列島を訪れることにしました。長崎県の西部に位置する五島列島は、大小152の島々で構成されており、今回はその中で最も広大な福江島を選びました。福江島は、潜伏キリシタンの歴史を伝える教会群や、雄大な断崖に立つ白い灯台、エメラルドグリーンに輝く美しい海岸線など、見どころが豊富に点在しています。豊かな自然と独特の歴史が共存する福江島は、筆者が長年訪れたいと願っていた場所の一つでした。

福江島での滞在中、筆者が特に歩きたいと願っていたのは、島の象徴である標高315メートルの鬼岳でした。その名前に反して、丸みを帯びた優しい姿が印象的な草原の山です。駐車場から山頂まではおよそ30分から40分で到達でき、さらに稜線に沿ってゆっくりと火口を一周しても、全体で約1時間半程度という手軽さも魅力の一つです。山頂に立つと、眼下には五島灘の青く広がる海と、豊かな緑に包まれた島の絶景が広がります。潮風を肌で感じながら稜線をゆったりと散策する時間は、まさにこの上ない喜びでした。島の山ならではの心地よさを存分に味わい、「船に乗ってまで訪れて本当に良かった」と心から感じられる山でした。次なる島の山旅への期待を胸に、筆者は新たな冒険を夢見ています。

see_more