シカゴ・カブスの本拠地、リグレー・フィールドは、単なる野球場以上の存在です。そこは歴史が息づき、地域社会の熱い情熱が凝縮された場所。今回は、メジャーリーグの魅力と、この象徴的なスタジアムが提供する独特の体験について掘り下げていきます。
シカゴ・カブスの本拠地、リグレー・フィールドの魅力と体験
メジャーリーグの舞台で、その名がしばしば短縮されて「PCA」と呼ばれるシカゴ・カブスのピート・クロウ=アームストロング選手は、大谷翔平選手と並んでナ・リーグのMVP候補として注目されています。2025年の東京ドームでのMLB開幕戦で記者が初めて「PCA」コールに接し、その長い名前が愛称として親しまれていることを知りました。以来、彼は注目すべき選手の一人となっています。彼の姓「クロウ」は母親から、そして「アームストロング」は父親から受け継がれたものです。
シカゴ・ホワイトソックスの本拠地が市街地南部に位置する広大な郊外型スタジアムであるのに対し、カブスの「リグレー・フィールド」は、シカゴの中心にある住宅街に突如として現れる、およそ4万1649人収容の都市型スタジアムです。シカゴ交通局レッドラインの「アディソン駅」から徒歩1分未満というアクセス抜群の立地を誇ります。駐車場は球場に隣接しているわけではなく、周辺に分散していますが、面白い試みとして、シカゴの公立学校の駐車場が、シーズン中のナイターや週末のデーゲーム、さらには夏休み期間中の平日デーゲームに開放されています。
通常の開場時間は試合開始90分前ですが、日本から訪れるファンには、早めに到着してリグレー・フィールドの歴史を学ぶスタジアムツアーへの参加が強く推奨されます。約75~90分のツアーでは、その豊かな歴史に触れることができます(試合日と非試合日で内容が異なります)。
球場内にも様々な施設がありますが、特に隣接する公式グッズストア「シカゴ・カブス・チームストア」は必見です。2階建ての店内には、アパレル商品を中心に、公式球、トレーディングカード、ボブルヘッド人形など、充実した品揃えがされています。PCA選手はもちろん、鈴木誠也選手や今永昇太投手の関連グッズも手に入ります。開場後は球場周辺が非常に混雑するため、試合開始の2時間以上前に到着して、落ち着いてショッピングを楽しむのが賢明です。なお、メジャーリーグの球場では手荷物検査が厳しいため、試合前に大量のグッズを購入すると行動が不自由になる可能性があります。観戦前はジャージやキャップ、Tシャツなど身につけられるものに留め、大きなグッズは別の日に購入することをお勧めします。公式ストアはアパレルが中心ですが、近隣の店舗ではカーペットやバーベキュー用品、ルームミラーといった生活雑貨も豊富に取り揃えられており、地元ファンのカブスへの強い愛着が伺えます。
1914年に開場したリグレー・フィールドは、その歴史的な外観も魅力の一つです。外野のツタや手動のスコアボードは、その伝統を今に伝えています。開業当初、外野は壁がなく、ロープで仕切られており、カブスの選手が打席に立つとこっそりロープを下げるというエピソードも残っています。1937年には現在のレンガの壁が設置され、壁に絡まるツタは「ボストン・アイビー」と「ジャパニーズ・ビタースイート」の2種類が使われ、現在も手作業で剪定されています。同年、外野席の増設に伴い設置されたスコアボードは、試合中、3階建ての内部に5人のスタッフが常駐し、冷暖房もない過酷な環境で作業を行っています。スコアボードの上にはナ・リーグ15チームのペナントがはためき、試合終了後にはカブスの勝敗を示す「W」または「L」の旗が翌朝まで掲げられます。
隣接するビルの屋上に設けられたルーフトップ席「リグレー・ルーフトップス」は、かつて住民が個人的に観戦していたものが人気を集め、現在ではカブスのオーナーが運営しています。約2500席ありますが、リグレーの公式座席数には含まれず、チケットは専用ウェブサイトで購入する必要があります。
リグレー・フィールドを訪れる上で絶対に忘れてはならないのが、カブスが勝利した際にスタジアム全体で歌われるアンセム「Go, Cubs, Go」です。2024年の入団会見で今永投手が披露した「Hey! Chicago, what do you say? The Cubs are gonna win today.」は、この歌のサビの一部であり、地元でも大いに歓迎され、彼の人気を不動のものにしました。これは、この歌が地元ファンにとってどれほど大切に受け継がれているかを象徴する出来事と言えるでしょう。
リグレー・フィールドは、ただの野球場ではなく、歴史、情熱、そしてコミュニティが融合した場所です。PCA選手のような新しいスターの登場、長年の伝統、そして地元ファンの揺るぎない愛が、このスタジアムを唯一無二のものにしています。シカゴを訪れる機会があれば、ぜひリグレー・フィールドでこの特別な体験を味わってみてください。それはきっと、忘れられない思い出となるでしょう。