フォトグラファー黄瀬麻以:旅と日常を彩る愛用品と運命の出会い





道具は個人のスタイルを象徴するものです。本シリーズでは、アウトドアと日々の生活が融合した個人の生き方を深掘りし、彼らが大切にする愛用品を紹介しています。今回は、旅行を深く愛する写真家、黄瀬麻以さんに話を伺いました。
黄瀬さんは、取材中にこれまでの人生について穏やかな笑顔で語りました。生粋の京都人である彼女は、学生時代から楽しいことを追求する性格でした。写真の世界に足を踏み入れたのは、まさに偶然の出来事でした。バラエティ番組の制作を志し、日本大学芸術学部放送学科を受験しましたが不合格。唯一合格したのは写真学科でした。当時、故郷の京都を離れて東京へ行きたいという強い思いがあった彼女は、「とりあえず大学に合格したから写真をやってみよう」という軽い気持ちで始めましたが、すぐにその魅力に引き込まれていきました。大学卒業後は広告代理店に就職しましたが、数年後には「プロの写真家になりたい」という強い決意を抱き、フリーランスとしてロケーションアシスタントの仕事を始めます。同時に、長年の憧れであった女性写真家とのコンタクトも試みました。当時アメリカを拠点に活動していたその写真家の遠隔サポート(日本での現像作業代行や帰国時のアシスタント)の機会を掴み、しばらくの間その仕事に携わります。そんな中、黄瀬さんの心には一つの決意が芽生えました。「明確なチャンスが訪れたわけではなかったけれど、昔から憧れていたアメリカへ行くなら今かもしれないと感じ、学生ビザを取得して『よし、行こう!』と飛び立ちました」。
渡米当初、彼女はアシスタントとしての技術が完璧に備わっていたわけではなく、仕事もないゼロからのスタートでした。しかし、黄瀬さんはそれでも現地の未知なる生活を「とても楽しかった」と振り返ります。やがて日本に帰国すると、彼女の経験と人柄を知る周囲の人々が温かく迎え入れてくれました。「日本に帰国してからも、とにかくがむしゃらに動いていると、周りの友人や知人が何かと気を遣ってくれて、様々な仕事を与えてくれたんです。そうするうちに、いつの間にか軌道に乗っていったという感じです。私、本当に人との出会いに恵まれているんです」。彼女のこの言葉の裏には、自ら機会を掴み取る圧倒的な行動力と、周囲に愛される純粋な人柄が隠されています。彼女のキャリアは、偶然の出会いと自身の努力、そして人との繋がりが複雑に絡み合い、豊かな物語を紡ぎ出しています。
黄瀬麻以さんの人生は、単なる偶然ではなく、自らの情熱と行動力、そして周囲への感謝の念が織りなす素晴らしい旅の物語です。彼女の経験は、私たちに、困難に直面しても諦めずに挑戦し続けること、そして人との絆を大切にすることの重要性を教えてくれます。常に前向きな姿勢で人生を切り開いていく彼女の姿は、多くの人々に勇気と希望を与えることでしょう。