中島信氏が語る、鉄道と索道への情熱と紅葉の魅力




幼い頃から鉄道に魅せられ、東京都杉並区の自宅近くにあった京王井の頭線の車庫(1966年廃止の永福町検車区)がその原点であると、鉄道評論家であり歯科医師の中島信氏は語ります。学生時代には全国の鉄道路線をほぼ乗り尽くす勢いでしたが、多忙により一時中断。しかし、2004年にはJR、私鉄、地下鉄、路面電車を含む日本全国の全鉄道路線を完乗するという偉業を達成しました。この達成感に浸る中、友人からの「ロープウェイやゴンドラリフトが抜けている」という言葉が、彼の新たな挑戦への情熱に火をつけました。日本の鉄道事業法では鉄道と索道が区別されており、この指摘がきっかけで、中島氏は2009年までに当時全国に168ヶ所存在した普通索道をすべて制覇するという目標を掲げ、これを実現しました。彼にとって、各路線の傾斜や支柱の数を詳細に調査し、手書きで路線図を作成する時間は、旅の醍醐味そのものであり、そのファイルは今でも大切な宝物です。現在、普通索道の数は廃止されたものも多く、およそ150ヶ所前後と推測されています。
索道には、ゴンドラが往復する「交走式」と常に循環する「循環式」があり、それぞれに単線、複線、複式単線といった形式が存在します。交走式は一度に多くの乗客を運ぶことができ、駅間の距離が長くても設置可能ですが、待ち時間が発生したり混雑したりする場合があります。一方、循環式は待ち時間が少ないものの、一台あたりの定員が少なく、多数の支柱が必要となります。また、フニテルと呼ばれる複式単線形式は、二本のワイヤーでゴンドラを支えるため、風に強く安定性に優れているのが特徴です。ロープウェイの最大の魅力は、季節ごとに変化する壮大な景色、特に秋の紅葉の美しさです。標高差が1000メートルにも及ぶ路線では、山頂が初冬の景色でも、中腹では紅葉が最盛期、山麓ではまだ紅葉が始まっていないというように、一回の乗車で多様な景観を楽しむことができます。その代表例として、標高2612メートルの千畳敷駅を持つ中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイが挙げられ、950メートルの高低差が四季の移ろいを鮮やかに映し出します。また、日本最長の路線を誇る苗場ドラゴンドラでは、山頂、中腹、山麓で異なる紅葉の時期を楽しむことができ、その景観の多様性は訪れる人々を魅了します。紅葉の美しさで特筆すべきは、「東の八甲田、西の宮島」です。八甲田山ではブナやカエデなどが織りなす赤や黄色の絨毯が広がり、山頂公園駅から続く自然遊歩道や展望ウッドデッキからは、息をのむような紅葉のパノラマを堪能できます。宮島ロープウエーからは、紅葉谷公園の約700本のカエデが織りなす鮮やかな色彩と、弥山原始林の深い緑との美しいコントラストを楽しむことができます。
中島氏の情熱的な探求心と詳細な記録は、鉄道や索道という移動手段が単なる交通機関にとどまらず、壮大な自然との出会いや、季節の移ろいを肌で感じる感動を提供してくれることを示しています。彼の旅は、私たちに日常の中に隠された非凡な美しさ、そして自身の情熱を追求することの喜びを教えてくれます。