住宅宿泊管理業者に対する立入検査結果と今後の課題

国土交通省が実施した2025年度の住宅宿泊管理業者への全国立入検査において、調査対象となった44業者中35業者で法律違反が認められ、是正勧告が行われました。これらの管理業者は、住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)に基づき、宿泊施設の運営者から清掃、宿泊客対応、苦情処理などの業務を委託されている登録事業者です。2026年3月現在、全国には4095の住宅宿泊管理業者が存在しており、国土交通省は、これらの事業者が法律を遵守し、適切に事業を運営しているかを確認するため、2023年度より継続的に全国規模での立入検査を実施しています。
昨年度と比較すると、違反内容の傾向に変化が見られます。以前は「帳簿の備付け等義務違反」が最多で18件、「住宅宿泊事業者への定期報告義務違反」と「証明書の携帯等義務違反」がそれぞれ16件と上位を占めていましたが、これらは前年度に比べて減少しています。一方で、契約締結前の書面交付義務違反が14件(前年度11件)、契約締結時の書面交付義務違反が11件(前年度4件)と、契約時の書面手続きに関する問題が増加傾向にあります。さらに、前年度には見られなかった再委託禁止の違反事例が2件確認されたほか、「標識の掲示義務違反」(14件)や「変更届出等義務違反」(8件)など、広範囲にわたる基本的な義務事項の不履行が指摘されました。宿泊客による騒音や不適切なごみ処理といった迷惑行為が発生しても、事業者が迅速に対応しない「不適切な管理が行われている民泊」の存在が明らかになり、国土交通省は管理体制に強い懸念を表明しています。このような状況を踏まえ、国土交通省は今後の立入検査では、「周辺地域の生活環境への悪影響防止に必要な説明(法第9条、36条関連)」および「苦情等への対応(法第10条、36条関連)」について、未実施の事業者に対し特に重点的な是正指導を実施する方針を示しています。なお、今回指導を受けた35業者は、既に違反状態の改善を完了しています。
健全な民泊市場の育成には、事業者側の法令順守と、監督機関による厳格なチェック体制が不可欠です。今回の検査結果は、民泊運営における透明性と責任の重要性を改めて浮き彫りにしました。国土交通省の継続的な取り組みと、観光庁による違法民泊排除の新システム導入は、利用者が安心して民泊を利用できる環境を整える上で、非常に意義のある一歩と言えるでしょう。これにより、地域社会との調和を保ちながら、持続可能な観光産業の発展に貢献することが期待されます。