ごくじょうたいけん

又吉直樹とたなかみさきが紡ぐ『失恋カルタ』:コロナ禍に生まれた大人の恋愛観

又吉直樹氏とたなかみさき氏が手掛けた共著『失恋カルタ』は、失恋を題材に、又吉氏の紡ぎ出す言葉とたなか氏の描くイラストが見事に融合した一冊です。この作品は、コロナ禍における孤独な時間から生まれ、若者だけでなく、人生経験豊かな大人たちにも青春のほろ苦い記憶を呼び覚ます内容となっています。

心の奥底に響く失恋の言葉とイラスト

『失恋カルタ』誕生の背景:コロナ禍が育んだ感性

お笑い芸人であり芥川賞作家でもある又吉直樹氏と、独特なタッチで知られるイラストレーターのたなかみさき氏の共著『失恋カルタ』が、大きな話題を呼んでいます。失恋をテーマに、又吉氏が情感豊かな言葉を綴り、それらをたなか氏が心に響くイラストで表現したこの作品は、青春時代の甘酸っぱい思い出から、大人の恋愛における複雑な感情まで、幅広い層の読者に共感を呼び起こしています。

コロナ禍の孤独が育んだ創作の芽生え

又吉氏によると、『失恋カルタ』が誕生した背景には、コロナ禍における自身の経験が深く関わっているそうです。自粛期間中、読書が進まず、仕事も思うように手につかなかった又吉氏は、映画やゾンビドラマに没頭する日々を送っていました。人との交流が減り、一人で過ごす時間が増える中で、内省的な感情が募り、長い文章を書く気分になれなかったといいます。そんな時に自然と生まれたのが、短い言葉で感情を表現する「失恋カルタ」という形式でした。

短歌と俳句への愛情:言葉を凝縮する力

又吉氏は以前から、短文や一行詩のような表現に深い愛着を抱いていました。特に28歳頃から続けている自由律俳句は、彼のすべての創作活動の根源であり、「目」のような存在だと語っています。自由律俳句からエッセイのヒントを得ることも多く、日常的に俳句を詠む習慣が、今回の『失恋カルタ』の散文的な表現にも繋がったと分析しています。長年の創作活動で培われた言葉を凝縮する力が、失恋という普遍的なテーマに新たな光を当てたのです。

裏の顔を持つ主人公が活躍するサスペンスアクション映画3選

本稿では、日常の裏に隠された驚くべき能力や過去を持つ主人公たちが、悪に立ち向かい正義を貫くアクション映画3作品に焦点を当てます。これらの作品では、平穏な生活を送る人物が、特定の事件をきっかけにその真の姿を現し、社会の闇と対峙する様が描かれています。主人公たちの隠された才能や、彼らが抱える葛藤、そして弱者を守るために戦う姿は、観る者に強いカタルシスと感動を与えます。それぞれの物語が持つユニークな設定と、息をのむようなアクションシーンを通じて、観客は人間性の深淵と正義のあり方について深く考えるきっかけを得るでしょう。隠されたヒーローたちの活躍を追体験することで、日常の中に潜む非日常の魅力に触れることができます。

本稿で紹介する映画は、『イコライザー』、『ザ・コンサルタント』、『リベンジ・リスト』の3作品です。これらの作品では、主人公がそれぞれ異なる背景を持ちながらも、共通して内に秘めた強さを持ち、それが物語の鍵となります。『イコライザー』の元CIA工作員、『ザ・コンサルタント』の自閉症の会計士、『リベンジ・リスト』の元特殊工作員と、彼らの表の顔と裏の顔のギャップが、物語に深みと興奮をもたらします。彼らが悪に立ち向かう動機や、その過程で繰り広げられるアクションは、単なる暴力描写にとどまらず、それぞれが抱える人間ドラマと密接に結びついています。観客は、主人公たちが直面する困難や葛藤、そしてそれを乗り越える精神的な強さに共感し、物語の世界に引き込まれることでしょう。

日常に潜む隠れたヒーローたちの戦い

本作では、平凡な日常の影に隠された特別な能力を持つ主人公たちが、不測の事態に直面した際にその真の姿を現し、社会の不義に立ち向かう様子を描いています。表向きはごく普通の人々として生活しながらも、彼らの内には並外れた戦闘スキルや分析能力、あるいは過去の経験によって培われた知識が秘められています。これらのヒーローたちは、身近な人々が困難に陥ったり、理不尽な悪に巻き込まれたりするのを目撃したとき、自身の安全や平穏を顧みず、その隠された力を解放します。彼らの行動は、単なる暴力の連鎖ではなく、弱者を守り、正義を回復するための使命感に裏打ちされたものです。観客は、主人公たちが自身の内なる葛藤と向き合いながら、非凡な能力を駆使して悪を打ち砕く姿に、深い感動と興奮を覚えることでしょう。この物語は、誰の心の中にも眠る、秘められた強さと正義感に光を当てます。

デンゼル・ワシントン演じる『イコライザー』のロバート・マッコールは、ホームセンターの従業員という地味な顔を持ちながら、かつてはCIAの敏腕工作員でした。彼の穏やかな日常は、顔なじみの娼婦がロシアンマフィアによって暴行された事件をきっかけに一変します。マッコールは、その卓越した戦闘スキルを再び解き放ち、わずか19秒でマフィアの手下たちを制圧します。この事件を皮切りに、彼は社会の弱き者たちのために、次々と悪を排除していく「世直し」の道を歩むことになります。ベン・アフレックが演じる『ザ・コンサルタント』のクリスチャン・ウルフは、自閉症を抱える天才会計士であり、その驚異的な数字への理解力で犯罪組織の裏金を管理しています。しかし、電気メーカーの会計監査中に汚職の事実に直面し、彼の隠されたもう一つの才能、すなわち幼少期から軍人の父に仕込まれた驚異的な戦闘能力が覚醒します。ジョン・トラボルタ主演の『リベンジ・リスト』では、失業中の自動車整備工スタンリーが、目の前で妻を強盗に殺されたことをきっかけに、元特殊工作員としての過去を呼び覚まします。彼は、妻の死の背後に潜む政治的な陰謀に気づき、巨大な権力に対してたった一人で復讐を誓います。これらの作品は、主人公たちの隠された能力が、特定の事件を契機に解放され、彼らが正義のために戦う姿を力強く描いています。

隠された能力と正義の覚醒

これらの作品群では、主人公たちが持つ特異な才能や、彼らが背負う過去が、物語の核心を成しています。彼らは、社会の片隅でひっそりと暮らす普通の人々に見えますが、その内には並々ならぬ能力が秘められています。ある者は高度な戦闘技術を持ち、またある者は桁外れの知性を隠し持ち、さらには過去の経験から得た深い洞察力で物事の本質を見抜きます。これらの能力は、普段は意識されることなく眠っていますが、理不尽な暴力や不正、あるいは愛する者への危害といった、彼らの心の琴線に触れる出来事が起こったとき、まるでスイッチが入ったかのように覚醒します。そして、彼らはその隠された力を駆使し、悪に対して容赦なく立ち向かいます。この覚醒の瞬間は、単なる能力の解放にとどまらず、彼ら自身の内なる正義感や道徳観が強く揺さぶられ、行動へと駆り立てられるプロセスでもあります。観客は、主人公たちが自身のアイデンティティと向き合い、その力をどのように使うべきか葛藤しながらも、最終的に弱者を守るために立ち上がる姿に深い共感を覚えるでしょう。

『イコライザー』では、ロバート・マッコールが不眠症に悩まされながら深夜のダイナーで読書をする日々を送る中で、自身の過去と向き合い、その中で芽生える正義感が、彼を再び戦いの道へと導きます。彼は、マフィアとの戦いを重ねるごとに熟睡できるようになるという独特の描写を通じて、内面の平静を取り戻していく過程が描かれています。これは、彼が弱者を救うことで精神的な充足を得ていることを示唆しています。『ザ・コンサルタント』のクリスチャン・ウルフは、自閉症であるために他人とのコミュニケーションに困難を抱えていますが、その一方で数字に対する並外れた才能を持ち合わせています。彼の父が、社会で生き抜くために彼にあらゆる戦闘術を叩き込んだという背景は、彼の戦闘能力が単なる暴力ではなく、生きるための手段として獲得されたものであることを物語っています。この意外な設定は、彼のキャラクターに深みを与え、観客に強い印象を残します。『リベンジ・リスト』のスタンリーは、職を失いながらも愛する妻とのささやかな幸せを追求していましたが、その幸せが奪われた瞬間、彼の内に眠っていた元特殊工作員としての本能が呼び覚まされます。彼が自宅に隠し持っていた武器を取り出し、権力による隠蔽工作に立ち向かう姿は、個人的な復讐を超えて、社会の不正に挑む現代的なヒーロー像を提示しています。これらの作品は、主人公たちが持つ隠された能力が、彼らの内面の変化や社会的なテーマと密接に結びつきながら、正義のために覚醒していく過程を描いています。

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中村橋之助、結婚を経て芽生えた歌舞伎俳優としての新たな責任感と挑戦

歌舞伎の未来を担う若手花形俳優たちが舞台にかける情熱、その中でも特に中村橋之助が結婚という新たなステージを経て、役者としてどのように変化し、成長していくのかに焦点を当てた本記事。撮り下ろしの舞台ビジュアルとともに、彼の心境とこれからの抱負を探ります。

歌舞伎の伝統を未来へ繋ぐ、中村橋之助の新たな決意

「怪談 牡丹燈籠」に初挑戦:人間性の深淵を描く

夏の風物詩として親しまれる「八月納涼歌舞伎」で、三遊亭円朝の怪談噺を題材とした「怪談 牡丹燈籠」が上演されています。この作品は単なる幽霊譚にとどまらず、人間の内面に潜む欲望、執着、そして男女の情といった複雑な感情を巧みに描き出しています。中村橋之助さんは、今回が初役となる宮野辺源次郎を演じ、お国との関係を通して人間の弱さや身勝手さを鮮烈に表現しています。橋之助さん自身は、この作品の魅力を「怪談というよりも、人間の怖さを歌舞伎として面白く再構築している点」だと語っています。萩原新三郎とお露、お国と宮野辺源次郎、そして伴蔵とお峰という三組の男女が織りなす物語の中で、それぞれの人間らしい側面を鮮やかに描き分けることが重要だと強調しています。

宮野辺源次郎役への深い洞察:共感を超えた役作り

宮野辺源次郎という役について、橋之助さんは「格好をつけながらも、最終的には他人のせいにしてしまう」という、彼自身があまり好まないタイプだと分析しています。しかし、その点が源次郎の本質であるとし、物事を表面的にしか理解せず、困難に直面すると「なぜこうなったのか」と自己憐憫に浸る彼の姿を意識して演じていると語ります。また、「牡丹燈籠」が描く男女の情の恐ろしさについて、坂東巳之助さんからは結婚後の初の歌舞伎座公演で「女は怖いものだ」という台詞を言うことへの配慮があったものの、橋之助さんは女性の持つ強さやしたたかさが、源次郎とお国の関係性における「恐ろしさ」に繋がると捉えています。三組のカップルそれぞれが持つ異なる「人間の怖さ」を客観的に見せることで、作品の面白さが際立つと考えています。

納涼歌舞伎への思い:受け継がれる情熱の炎

若い世代が中心となる八月納涼歌舞伎は、橋之助さんにとって特別な意味を持つ場所です。巳之助さんをはじめ、普段から親交のある同世代の役者が集まるこの公演は、父たちの世代が築き上げ、中村勘九郎さんたちが引き継いできた伝統の「第三世代」としての自覚を強く感じさせる場となっています。納涼歌舞伎の稽古場には、昔から「やってやるぞ」という独特の熱気があり、役者一人ひとりの内なる情熱が普段以上に燃え上がる感覚があると言います。橋之助さんは、その熱い空気感をしっかりと未来へ引き継いでいきたいと語っています。

父の背中を追い、心で演じる:役への真摯な姿勢

近年、父である中村芝翫さんが演じてきた役に挑戦する機会が増え、橋之助さんはその度に緊張と同時に大きな喜びを感じています。父の演技を「完コピ」することを大切にしながらも、単なる模倣に終わらず、役の「心」を深く理解することを最も重視しています。坂東玉三郎さんからは「型ができても、そこに意味が通っていなければならない」と教えられ、中村七之助さんや父からは「その意味は何なのか」「どういう理屈なのか」と常に問われていると言います。役の心を読み解き、理解した上で演じることを、橋之助さんは自身の役者としての核としています。

三兄弟の絆と「神谷町小歌舞伎」の成果

中村橋之助さん、福之助さん、歌之助さんの三兄弟が共に取り組んできた自主公演「神谷町小歌舞伎」は、すでに4回を数えています。この活動は、「自分たち三兄弟にはこれだけの力がある」ということを世に知らしめたいという思いから始まりました。歌舞伎座や浅草など様々な舞台で大役を任されるようになったのは、彼らが「自分たちにもできる」ということを示してきた結果だと考えています。その先の大きな目標は、「成駒屋一門が強く、大切にされる一門であること」。この4年間で、「これからどう進化していくのか」という段階まで来られたことが、一つの大きな成果だと語ります。三兄弟は非常に仲が良く、橋之助さんは弟たちを心から愛していると語ります。披露宴で弟たちと手を繋いで中座したエピソードからも、その深い絆がうかがえます。性格は異なるものの、互いを思いやり、共通の「良い歌舞伎」のビジョンを持っていることが、彼らの良好な関係の秘訣です。

結婚がもたらした新たな責任感と未来への展望

今年、結婚という大きな節目を迎えた橋之助さんは、歌舞伎俳優としての意識に変化があったと明かします。これまでは自分一人だったが、これからは家族に影響を与え、妻に迷惑をかけないよう、より一層きちんとしなければならないという「目に見える責任」を強く感じています。妻は着物を着るのが苦手だったにも関わらず、一生懸命覚えてくれたことに感謝し、楽屋に妻がいると自然と格好をつけたくなる、きちんとしたくなる、と笑顔で語ります。幼い頃から父の楽屋に母がいた光景が、今、自身の楽屋に妻がいるという現実に、単純な喜びを感じています。来年の新春浅草歌舞伎では、若い世代を牽引する立場となりますが、無理にチームワークを作ろうとはせず、自分が下積みの頃に「こうしてくれたら嬉しかった」と思うことを後輩にしてあげることで、結果としてチームワークに繋がると信じています。彼の最大の夢は、父のように「真ん中が似合う、器量の大きな役者」になること。義太夫狂言の中心に堂々と立つ役者を目指し、その言葉には、中村橋之助の現在地と未来へ向かう確固たる道筋が示されています。

「怪談 牡丹燈籠」鑑賞の勧め:人間の業を深く味わう

最後に、橋之助さんは「怪談 牡丹燈籠」の見どころとして、自身が演じる源次郎の「格好をつけているのに、結局は弱く、他人のせいにしてしまう人間らしさ」を挙げています。お国との関係性や、他の二組のカップルとの明確な違いにも注目してほしいと語ります。作品全体として非常に分かりやすく、力強くまとまった内容であり、暑い夏に涼しい歌舞伎座で、若手俳優たちの熱演を感じてほしいと観客にメッセージを送っています。父である中村芝翫を目標に、役の心に実直に向き合う彼の姿は非常に印象的です。父の芸をまずは「完コピ」したいという素直さの一方で、型だけでなくその奥にある意味や心を何よりも大切にして演じる姿勢がうかがえます。弟たちの活躍を自分のことのように喜び、結婚を機に家族への責任も背負った彼が目指すのは、「真ん中が似合う、器量の大きな役者」。その言葉からは、橋之助さんの揺るぎない覚悟と未来への展望が力強く伝わってきます。中村橋之助(なかむら はしのすけ)は東京都生まれ。父は中村芝翫。2000年に中村国生を名乗り、「京鹿子娘道成寺」の所化、「菊晴勢若駒」の春駒の童で初舞台を踏みました。2016年には四代目中村橋之助を襲名。09年に国立劇場特別賞、15年と18年には国立劇場奨励賞を受賞しています。2023年からは、成駒屋三兄弟と父・中村芝翫の弟子たち「神谷町一門」が一体となって創り上げる自主公演「神谷町小歌舞伎」を開催し、これまでに4回の公演を重ねるなど、日々研鑽を積んでいます。

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