多くの人々から信頼を寄せられるエンターテイメントとビジネスのパイオニア、西野亮廣氏。彼の著書『北極星 僕たちはどう働くか』は2026年上半期の売上ランキングに名を連ねるなど、常に注目を集めています。以前の連載では、期待通りの結果が得られなかった際の行動原則「空振りの翌日」について語られましたが、今回はその続きが音声メディア「Voicy」の「#西野さんの朝礼」から再構成され、提供されます。今回のテーマは「思い描いた結果が得られなかった日があるからこそ、今がある」です。
2026年8月8日と9日、西野氏の故郷である兵庫県川西市で、『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』の特別上映イベントが開催されました。この二日間で2420人もの観客を動員し、会場ロビーはまるで縁日のような賑わいを見せ、映画鑑賞というよりも、お祭りに遊びに来たかのような熱気に包まれました。これこそが、エンターテイメントに携わる者が最も望む光景でした。しかし、この成果は当初から目指していたものではなく、Voicyでも繰り返し述べられている通り、これは「プランB」として実行されたものです。このイベントが企画されたきっかけは、映画公開当初の出足が思わしくなかったことにありました。「どうすれば、この作品を一人でも多くの人に見てもらえるだろうか」という強い思いが、この新たな試みへとつながりました。四年半かけて制作した作品が期待通りのスタートを切ることができなかった時、西野氏は大きな苦痛、恥ずかしさ、そして何よりも悔しさを感じたと言います。映画業界には「映画の成功は公開から三日間で決まる」という通説があり、初動が悪いと上映館数や上映回数が減少し、そのまま興行が終了してしまうのが一般的です。しかし、『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』は、その評価と興行成績が全く釣り合っておらず、西野氏自身、この作品がここで終わることを受け入れることができませんでした。そのため、「三日間で結果が出なければ終わり」という常識にとらわれず、その後からでも観客を動員する方法はないかと考え始めました。
まず西野氏が行ったのは、数字を良く見せようとするのではなく、現状を正直に公表すること、そしてそれによって「応援される余地」を作り出すことでした。人々は「知られたくない結果」ほど知りたがるものであり、これを隠していては何も始まりません。そこで、「お恥ずかしい話ですが、今はここです」と現状を率直に伝え、そこから逆転の戦略を練りました。彼が導き出した答えは「長期的な取り組み」でした。「映画を十年間にわたって上映し続けるためには、何をすべきで、何をしてはいけないのか」という問いに対し、深く考察を重ねました。映画館に足を運んでもらうだけでなく、映画そのものを「イベント」として捉え、人々が集まる理由を創出できないかという試行錯誤の末に、今回の川西での上映イベントが実現したのです。もし初動が順調で、何のトラブルもなく映画がヒットしていたら、西野氏は今回のような感動的な光景を目にすることはできなかったでしょう。この経験を通じて、彼は改めて、第一の希望(プランA)が必ずしも最良の未来であるとは限らない、ということを痛感したのです。
どんなに困難な状況に直面しても、それを成長と新たな創造の機会と捉える西野亮廣氏の姿勢は、私たちに深い感銘を与えます。失敗を恐れず、常に前向きな視点で課題に向き合い、柔軟な発想で「プランB」を成功に導く彼の行動は、変化の激しい現代社会において、私たち一人ひとりが持つべき強さと希望を示しています。自身の経験を赤裸々に語り、共感と応援の輪を広げることで、逆境をも力に変える彼の物語は、夢を追い続けるすべての人々にとって、かけがえのない教訓となるでしょう。