ぐるめぶんか

吉祥寺の老舗酒場「カッパ」:半世紀以上愛される絶品モツと温かいおもてなし

吉祥寺に根差して半世紀を超える老舗酒場「カッパ」は、その独特な魅力で多くの人々を惹きつけています。お店の名称には、「家に帰る前に少し喉を潤してから」という、どこか遊び心のある創業者のメッセージが込められています。昭和43年の開業以来、台湾出身の初代店主がこの地で始めたこの店は、以来ずっと吉祥寺の角地で地元の人々に親しまれてきました。

 

現在の店主である越川友侑介さんは、トレードマークの超ミニ短パン姿で焼き場に立ち、訪れる客一人ひとりに心を込めたサービスを提供しています。わずか9坪という限られた空間でありながら、カウンター席ではオーダーから料理提供までが流れるように行われ、その見事な手際に常連客は「まるで背中に目があるようだ」と感嘆の声を漏らします。越川さん曰く、この秘訣は「マニュアルではなく、お客様の出す小さな音で状況を察知する。接客は耳が命だ」とのこと。彼の“聖徳太子”のような観察眼と温かい心遣いが、この店を特別な場所にしています。提供される「おまかせ串5本」(850円)や「赤星(大瓶)」(780円)は、来店客にとってこの上ない喜びです。

 

「カッパ」の料理の核となるモツの美味しさは、その日のうちに全て売り切ることで常に新鮮な肉を仕入れるという徹底したこだわりから生まれています。薬膳を思わせる個性豊かなタレは、香りが食欲をそそります。さらに、55年以上の歴史を持つ糠床で漬け込まれた漬物は、その色艶と深みのある味わいが訪れる人々を魅了します。この店で過ごす時間は、単に美味しい料理を楽しむだけでなく、長い歴史と温かい人情に触れる、心豊かな体験となるでしょう。ぜひ一度、この吉祥寺の隠れた名店を訪れてみてください。

 

「カッパ」は、単なる飲食の場を超え、人と人との繋がりを育む大切な場所です。ここでは、日々の喧騒を忘れ、美味しい料理と温かい会話を通じて、明日への活力を得ることができます。食の提供だけでなく、心の豊かさも提供するこの店は、現代社会において人々が求める「安らぎ」と「繋がり」の象徴とも言えるでしょう。歴史が紡ぎ出す深みと、現代に息づく活気が融合した「カッパ」は、訪れる人々に常に新しい発見と感動をもたらしてくれるに違いありません。

大谷翔平選手の故郷、岩手県奥州市を巡るグルメ旅

大リーグで目覚ましい活躍を見せる大谷翔平選手の故郷である岩手県を巡る旅が、夏の特別な企画として始まります。特に、新幹線で東京から約2時間というアクセスの良さから、彼の生まれ育った旧水沢市(現在の奥州市)、高校生活を送った花巻市、そして県庁所在地の盛岡市を訪れることが可能です。この旅では、大谷選手ゆかりの地や彼も訪れたとされる飲食店、そして岩手ならではの郷土料理が4回シリーズで紹介されます。野球少年たちが憧れる大谷選手の足跡をたどりながら、岩手の魅力を存分に味わえる内容となっています。

旅の第一歩として、大谷選手の誕生地である旧水沢市へと向かいます。最寄りの駅は、JR在来線の水沢駅、または新幹線の水沢江刺駅です。駅に降り立つと、そこには早速、大谷選手の姿が描かれたデザインマンホールが目に飛び込んできます。これは、現代日本各地で見られるデザインマンホールの中でも、特に注目を集めるものかもしれません。

そして、この地で最初に味わうのは「はっと」という郷土料理です。「すいとん」や「ひっつみ」といった様々な名称で全国各地に似た料理が存在しますが、「はっと」は主に岩手県南部に伝わる呼び名です。小麦粉を水で練り、薄く延ばして短冊状に切ったもので、うどんを平たく短くしたような形状が特徴です。今回は、水沢駅に近い「お食事処かぐや」でこの「はっと」をいただきました。店内は大谷選手を応援するポスターやグッズで溢れ、清潔感があり広々とした空間で快適に食事ができます。

注文したのは、ビールと共に「ミニかぐや丼はっとセット」です。かぐや丼は「味噌とろろ丼」で、味噌ととろろの意外な組み合わせが絶妙な美味しさを生み出し、まさに「ハっとさせられる」味わいでした。続く「はっと」は三角形の耳たぶのような形をしており、もちもちとした食感とニラの香りが際立つ逸品です。スープは、高級ラーメン店を思わせるほど旨味が凝縮されており、幼少期の大谷選手もきっとこの味を堪能したことでしょう。美味しい料理があるところには、やはり名選手が育つのかもしれません。

「お食事処かぐや」から徒歩圏内には、「hair and spa Seems」という美容室があります。その入り口脇には、大谷選手と愛犬デコピンの巨大なストリートアートが描かれています。まるでロサンゼルスで見かけるような本格的な壁画で、2025年9月24日に、ロサンゼルスで活躍する壁画アーティストによってわずか3時間半で完成されたそうです。この作品は「ファミリー」と名付けられ、今では大谷選手ゆかりの地を巡る人々にとって欠かせないスポットとなっています。

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軽井沢の自然が育む薪火料理「MANO」:太田哲雄氏が推薦する創造性溢れる美食

軽井沢の別荘地、レイクニュータウンの一角に、美食家たちを魅了するレストラン「MANO」があります。この店を率いる西本竜一シェフは、北アルプスの山々を巡り、自ら山菜やキノコといった季節の恵みを採取する、まさに「森の料理人」です。彼の厨房では、採取したばかりの新鮮な食材が、燃え盛る薪の炎によって独自の料理へと昇華されます。この「プリミティブ・キュイジーヌ」と称される調理法は、素材本来の風味を最大限に引き出し、訪れる人々に深い感動を与えています。

太田哲雄氏が特に感銘を受けた一皿は「苔を喰む鮎」と名付けられたもので、これは西本シェフが幼少期を過ごした安倍川の情景を繊細に表現しています。川底の丸石についた苔の食み跡まで再現されており、その芸術性と物語性に引き込まれます。デザートを含む約14品のコース料理は、どれも野趣あふれる調理法と、皿の上に広がる繊細で詩的な表現が共存しており、その意外な組み合わせが客の心を掴んで離しません。コースの締めくくりには、スペインでの修業経験から生まれた薪火で炊き上げるパエリアが提供されます。燃料には地元のカラマツが使われ、その繊細な火力調整が、うこぎと蛤のパエリアに深い味わいをもたらしています。米の一粒一粒に山と海の香りが凝縮されたこの一品は、パエリアが「米を味わう料理」であることを改めて教えてくれます。

太田哲雄氏は、長野県白馬村出身で、イタリア、スペイン、ペルーで合計10年以上の経験を積んだ後、2019年から軽井沢に拠点を置いています。彼は自身のレストラン「ラ・カーサ・ディ・テツオ・オオタ」と食堂兼売店「マードレ」を経営する傍ら、アマゾンカカオの普及にも尽力し、様々なスイーツを開発しています。西本シェフの料理に対する情熱と若々しいエネルギーを高く評価しており、その成長を温かく見守っています。軽井沢の自然と一体となり、その恵みを最大限に活かす「MANO」の料理は、訪れる人々に忘れられない食体験を提供し続けています。

料理は単なる食事を超え、文化や記憶、そして自然との対話の芸術です。シェフたちが地域固有の食材と向き合い、伝統と革新を融合させることで、私たちに新たな味覚の体験と、その土地の豊かな物語を伝えてくれます。このような創造的な試みは、食の可能性を広げ、人々の心を豊かにするだけでなく、持続可能な地域社会の発展にも貢献する、まさしく未来を拓く希望の光と言えるでしょう。

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