ぐるめぶんか

大戸屋、発酵食品で彩る秋の味覚フェア「秋の発酵ごはん」を開催

大戸屋ごはん処では、9月25日から11月18日までの期間限定で、秋の味覚を存分に楽しめる「秋の発酵ごはん」フェアを開催します。この企画は、「ご飯が進む一品」をテーマに掲げ、甘酒、豆鼓、醤油麹といった日本古来の発酵食品を主役に据え、旬の茸や秋野菜をふんだんに使用した、体にも心にも優しいメニューを取り揃えています。食欲の秋にふさわしい、健康的で風味豊かな和食体験を提供することを目指しています。

提供されるメニューの中核を成すのは二品です。一つ目は、「鶏と茄子のコクうま豆鼓炒め」で、甘酒で柔らかく漬け込んだ鶏肉と茄子、エリンギなどの野菜を、豆鼓、味噌、オイスターソースを組み合わせた濃厚な特製ソースで香ばしく炒め上げた一品です。深いコクと旨みが特徴で、ご飯との相性が抜群です。二つ目は、「茸のたまり醤油バターソース メヌケの竜田揚げ」で、醤油麹に漬け込み旨味を凝縮させたメヌケを、外はカリッと中はふっくらとした竜田揚げに仕上げています。舞茸、しめじ、エリンギの三種の茸と、たまり醤油、バターを合わせた芳醇なソースが、食欲をそそる香りと味わいを添えます。これらのメニューは、定食または単品で提供され、お客様の好みに合わせて選べるようになっています。

今回の「秋の発酵ごはん」は、単なる季節限定メニューに留まらず、日本の食文化に根ざした発酵食品の力を再認識させる機会を提供します。伝統的な食材の知恵と現代の食のニーズを融合させることで、大戸屋は美味しさと健康を両立させた新しい食の価値を提案しています。自然の恵みと職人の技が織りなす秋の味覚を堪能し、心身ともに満たされるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

名古屋夜の饗宴:歴史ある居酒屋を巡る美食の旅

アジア競技大会で活気に満ちる名古屋の夜は、食の魅力にあふれています。文豪・村上春樹がかつて「魔都」と表現したこの街の美食文化を深く探るため、今回は特に居酒屋に焦点を当てた旅を敢行しました。名古屋の繁華街である栄や伏見地区で、地元に精通した友人の紹介を通じて厳選された三軒の老舗酒場を訪問。それぞれの店舗が持つ長い歴史と、そこで提供される唯一無二の絶品料理の数々をご紹介します。

名古屋の夜を彩る美食巡り:老舗居酒屋「宮鍵」での「みそすき」体験

名古屋の食文化に深く根差した居酒屋巡りの第一歩は、1899年(明治32年)創業という長い歴史を持つ「宮鍵」から始まります。名古屋駅から徒歩約10分、地下鉄伏見駅からもアクセスしやすい立地にあり、その堂々たる店構えは、通りの景色の中でも一際目を引きます。店に足を踏み入れると、時を超えて受け継がれてきた伝統と格式が感じられ、老舗ならではの趣が訪問者を温かく迎えます。この「宮鍵」の代名詞ともいえるのが、名古屋の特色を凝縮した「みそすき」です。八丁味噌を基調とした濃厚な出汁で丁寧に煮込まれる鶏肉は、一人前からでも気軽に注文可能。熟練の女性スタッフが丁寧に給仕してくれるため、お一人様でも心ゆくまで名物の鍋料理を堪能できます。目の前に運ばれてきた鍋は、その見た目の黒さに最初は驚かされますが、意外にも塩分は控えめで、深みのある味わいが特徴です。煮詰まるにつれて一層増す漆黒の輝きは、期待感を高めます。「食べ頃です」という給仕の声に誘われ、まずはふっくらと煮えた鶏肉を溶き卵にくぐらせて口に運びます。三河赤鶏特有の濃厚な旨味と、弾力のある食感が絶妙に絡み合い、その美味しさには思わず感嘆の声が漏れます。長時間煮込んでも硬くなりにくいという特性は、最後まで鶏肉の柔らかさを保ち、格別の味わいを提供します。新鮮なレバーもまた、普段レバーが苦手な方でも抵抗なく楽しめるほどの洗練された一品です。そして、この「みそすき」の締めくくりには、名古屋名物のきしめんが欠かせません。出汁の旨味をたっぷりと吸い込んだきしめんは、まさに至福の味わいです。作家・池波正太郎も足繁く通ったという「宮鍵」の歴史は、この変わらぬ味と心地よいもてなしに魅了された多くの人々によって紡がれてきました。

「宮鍵」での体験は、単なる食事を超えた、名古屋の歴史と文化に触れる貴重な機会となりました。作家・池波正太郎が愛したとされるこの場所は、訪れる人々に温かいおもてなしと、時代を超えて受け継がれる「みそすき」という絶品料理を提供し続けています。美味しい料理はもちろんのこと、店の雰囲気、そしてスタッフの方々の細やかな心遣いが一体となり、忘れがたい食体験を創造しています。名古屋の夜の社交場としての居酒屋は、単に飲食を提供する場ではなく、人と人との繋がりを深め、地域の文化を肌で感じるための大切な空間であると改めて感じさせられました。名古屋を訪れる際は、ぜひ「宮鍵」のような歴史ある居酒屋で、地元の味と温かい人情に触れてみてはいかがでしょうか。

もっと見る

アサクサ「イル・ノーチェ」: 麺への情熱と家族の絆が生み出すイタリア料理

かっぱ橋道具街にひっそりと佇むイタリア料理店「il Noce(イル・ノーチェ)」は、麺への深い愛情と家族の温かさが織りなす特別な場所です。荒木康朗シェフと妻のくるみさんが二人三脚で営むこの店は、訪れる人々を料理の豊かな世界へと誘います。

味覚の旅へ誘う、家族の物語が息づくイタリアン

麺への情熱を受け継ぐ家族の系譜

今年5月、かっぱ橋の近くにオープンした「イル・ノーチェ」の荒木康朗シェフは、自身のルーツをたどると「とにかく麺が好きなんです」と語ります。長崎出身の父はちゃんぽんや五島うどん、島原そうめんを愛し、おばも製麺会社に勤めていました。シェフの厨房には数十種類もの乾麺が常備されており、その情熱の深さが伺えます。妻のくるみさんも、うどんで有名な埼玉・加須出身。さらに、荒木シェフの父はホテルオークラ東京の総料理長を務め、兄も有名ホテルのシェフパティシエ。くるみさんの実家も日本料理店を営む料理人一家という、まさに「料理界のサラブレッド夫婦」なのです。

祖母の愛情が育んだ、新鮮野菜の彩り

「イル・ノーチェ」の料理を彩るのは、くるみさんの祖母が埼玉の広大な畑で丹精込めて育てた野菜たちです。日本料理にはあまり使われないズッキーニやブロッコリー、カリフラワーなども、祖母の愛情とともに店へと届けられます。くるみさんが「いつか白なすを作ってほしい」と話すと、すぐにそれが実現し、食卓に並ぶようになりました。これらの新鮮な野菜をふんだんに使った前菜の盛り合わせは、一口食べれば誰もが笑顔になる逸品。ホテル西洋銀座で習得したドレッシングで味わう魚介のマリネサラダや、加須の名人が育てたいちじくが添えられた水牛のブラータなど、一皿ごとに夫婦のこだわりが光ります。

無限に広がるパスタの世界

荒木シェフの真骨頂は、やはりパスタにあります。「メニューにないパスタでも、お客様からのリクエストがあればつい応えたくなる」と語るシェフの言葉通り、この店では訪れるたびに新しいパスタとの出会いが待っています。地域性は特に限定せず、季節に応じて様々な地方のパスタが登場します。この日は、南部プーリア地方の伝統的なショートパスタ「ストラッシナーティ」が提供されました。もちもちとした食感と小麦の香りが際立つパスタに、粗挽き豚のラグーソースが絡み、フェンネルの香りが食欲をそそります。また、シチリアの定番「ブジアーティ」は、くるくるとした形状と独特の口当たりが楽しく、赤ワインとンドゥイヤ、イカのラグーが織りなす濃厚な味わいはまさに絶品。冬には北イタリアのパスタが増える予定とのことで、季節ごとの変化も楽しみの一つです。

完璧な火入れが織りなす豚肉の至福

「イル・ノーチェ」のメイン料理の定番はポークチョップです。荒木シェフは、表面をグリルパンで香ばしく焼き上げ、その後じっくりと芯まで熱を通すことで、瑞々しいピンク色の断面とジューシーな肉質を実現します。骨の際まで均一に火が通り、ほどよい弾力と歯切れの良さは、すべての豚肉がこのように調理されれば、世界中が幸せになるだろうと思わせるほどの完成度です。

「ぬま田海苔」とカルナローリ米の共演

もう一つの店の顔となる料理は、「ぬま田海苔のリゾット」です。以前の職場のオーナーからの依頼で生まれたこのメニューは、新潟産のカルナローリ米を鶏のブロードであおさの磯の風味とチーズのコクを吸わせるように炊き上げます。卵黄を落とし、初摘みのばら干し海苔ともみ海苔をたっぷりと散らし、仕上げにイタリア産のトリュフ醤油をひと垂らし。ブロード、熟成チーズ、そして海苔が織りなす奥深い旨味のハーモニーは、この店でしか味わえない特別な一品です。

「くるみの木」が紡ぐ、人と食の縁

「イル・ノーチェ」という店名は、イタリア語で「くるみの木」を意味します。偶然にも店のカウンターや床材に「くるみ材」が使われるなど、まるで運命のように「くるみ」という言葉がこの店を取り巻いています。店内には、イタリア食文化に造詣の深いハヤシコウ氏のイラストが飾られ、新潟のエチゴビールや地元の加須麦酒、そして厳選されたイタリアワインが料理を一層引き立てます。荒木夫妻がイタリアを巡り、その土地の気風と不可分な「土着の味」を学んだ経験が、肩肘張らない、素材と季節を大切にした郷土料理として「イル・ノーチェ」に息づいています。数え切れないほどの縁が結びつき、この特別な場所が生まれました。

もっと見る