宇宙飛行士と時計:山崎直子博士が語る絆







IWCシャフハウゼンは、1868年の創業以来、精密な時計製造技術を追求し、特に飛行士向けのパイロット・ウォッチは90年以上にわたりブランドの象徴として親しまれてきました。今回、同ブランドはパイロット・ウォッチ誕生90周年を記念し、「The Next Space Age Exhibition」という期間限定の展示会を開催。そのオープニングイベントには、元JAXA宇宙飛行士であり、現在は民間宇宙ステーション開発企業Vast Japanのゼネラルマネージャーを務める山崎直子博士が登壇し、宇宙における計時装置の役割について深く掘り下げた講演を行いました。
山崎博士は、宇宙飛行士にとって時計が「かけがえのないパートナー」であることを強調しました。国際宇宙ステーション(ISS)での任務遂行には、時間の正確な把握が不可欠であり、一秒のずれも許されない状況下で、時計はミッションの成否を左右する重要なツールとなるからです。IWCは2025年にVast社の公式タイムキーパーに就任し、共同で開発した「パイロット・ウォッチ・ベンチュラー・バーティカル・ドライブ」は、2027年に打ち上げ予定の商業宇宙ステーション「Haven-1」での使用が計画されています。山崎博士は自身の宇宙体験を振り返り、「時計は打ち上げから宇宙滞在中、そして地球への帰還まで、常に身に着けている存在。まさにミッションを共に乗り越える相棒です」と語り、時計への深い信頼と愛着を示しました。
講演の中で山崎博士は、宇宙に対する自身の独特な感情についても語りました。宇宙空間から見た地球は、想像をはるかに超える輝きを放ち、漆黒の闇との鮮やかなコントラストが、まるで地球が生きているかのように感じられたといいます。当初は遥か遠い場所と考えていた宇宙が、実際に足を踏み入れると「故郷を訪れたような、懐かしい感覚」に包まれたと述懐しました。ISSは地球上空約400kmを秒速約8kmで周回するため、宇宙飛行士は一日に16回も日の出を目撃します。「地平線からゆっくりと太陽の光が昇り、辺りが明るくなっていく瞬間は、筆舌に尽くしがたいほど美しい時間でした」と語り、宇宙の刻々と変化する壮大な美しさを聴衆と共有しました。
展示会場では、IWCのパイロット・ウォッチ90年の歩みを象徴する歴代モデルが展示され、来場者は航空技術の進化から宇宙開発への展望まで、ブランドの歴史と未来への貢献を肌で感じることができました。「The Next Space Age Exhibition」は、技術革新が切り拓く宇宙の未来に思いを馳せる貴重な機会となりました。