山歩きの締めくくりに味わう至福の一串:青梅「関忠」の豚串焼き










登山愛好家にとって、山々を歩くことの魅力は、壮大な自然景観や挑戦的な道のりだけに留まりません。時には、「あの山を制覇したら、ご褒美にあれを食べよう」といった食の楽しみが、山旅の強力な動機付けとなることもあります。今回ご紹介するのは、そんな山好きたちが口を揃えて推薦する、東京都青梅に位置する「関忠」の豚串焼き。フォトグラファーの高橋郁子さんが太鼓判を押すこの名店は、下山後の疲れた身体に染みわたる、格別な味わいを提供しています。
青梅駅から少し歩いた場所にひっそりと佇む「関忠」は、紺色の暖簾に描かれた「やきとん」の文字が目印です。店内に入ると、半世紀にわたり炭火と向き合ってきた店主が、丹精込めて豚串を焼き上げる姿が目に飛び込んできます。その串焼きは、炭火の高温が豚肉の余分な脂を落とし、凝縮された旨味と甘みを最大限に引き出しています。一口食べれば、山歩きの疲れも吹き飛ぶほどの至福の味が口いっぱいに広がり、思わず箸も酒も進みます。さらに、女将が手掛ける心温まる一品料理も、この店の大きな魅力。シャキシャキとした食感と爽やかな香りが特徴の「みょうがキュウリ」や、じっくりと煮込まれて旨味が染み込んだ「もつ煮込み」は、串焼きと並んで外せない逸品です。
「関忠」の魅力は、料理だけではありません。店主夫妻の温かい人柄や、長年通い続ける常連客との交流も、この店を特別な場所へと昇華させています。彼らが語る地域の昔話に耳を傾けるのも、また一興。まるで「おかえり」と迎えられているようなアットホームな雰囲気は、訪れる人々を心から癒してくれます。かつては冬の猟期に獲れるスズメを串焼きにした「スズメ串」が名物だったという歴史も、この店の奥深さを物語っています。創業当時の写真に残された「スズメ串 美味」の文字は、時代を超えて受け継がれる「関忠」の味へのこだわりと、地域との繋がりを象徴しています。
「関忠」が位置する青梅市は、低山や丘陵に囲まれ、初心者でも気軽に楽しめるハイキングコースが点在しています。特に、フォトグラファー高橋郁子さんが推薦する「赤ぼっこ」は、静かな里山歩きを満喫できる絶景スポットです。山頂からは奥多摩の山並みから関東平野までぐるりと見渡せ、澄み切った空気の中で休憩するのに最適です。JR宮ノ平駅から和田橋を渡り、要害山方面へ進むと登山道入り口に看板があり、約4時間の行程で赤ぼっこから青梅駅へと下山できます。この「赤ぼっこ」でのハイキングを終えた後に、「関忠」の絶品豚串焼きを味わうというのは、まさに理想的な山旅の締めくくりと言えるでしょう。
都会の喧騒を離れ、自然の中で体を動かした後、地元の温かいお店で美味しい料理に舌鼓を打つ。そんな体験を求めて、多くの山好きが青梅へと足を運びます。「関忠」は、単なる飲食店ではなく、地域に根差した文化と、人々の心を繋ぐ場所として存在しています。その炭火の香ばしい煙と、店主夫妻の笑顔は、訪れる人々にとって忘れられない思い出となり、次なる山旅への期待感を高めてくれることでしょう。東京都青梅市住江町54にある「関忠」は、16時から23時まで営業しており、火曜日と水曜日が定休日です。