広島・呉の美食巡り:伝統の味と新たな発見

広島県が推進する「OK!!広島」プロジェクトの一環として行われた呉市への視察旅行では、その土地ならではの多彩な食文化に触れることができました。一般的に知られる広島の食と言えば「お好み焼き」や「牡蠣」が有名ですが、呉市にはそれらとは一線を画す独自の美食が息づいています。今回の訪問で出会ったのは、長年にわたり地元住民に愛され続ける老舗の味や、地域の食材を活かした工夫が凝らされた料理の数々でした。本稿では、そんな呉の食の魅力を余すところなく紹介し、旅の記録とともにその奥深さを探ります。
まず訪れたのは、1936年創業の「有限会社メロンパン」です。ここの名物「メロンパン」は、私たちが普段想像するクッキー生地の甘いパンとは異なり、楕円形のパンにカスタードクリームを詰めた独特の形状をしています。その名の由来は、かつてメロンと呼ばれていたマクワウリに似ていることからきており、高価なメロンの代わりに誰もがお腹いっぱい食べられるようにという創業者の願いが込められています。また、この店では「平和パン」や「ナナパン」といった、創業者の自由な発想から生まれた個性的なパンも提供されています。筆者は甘いものが得意ではないため「ぶ厚いロースカツバーガー」を選びましたが、冷蔵されていたにもかかわらず、その素朴で確かな味わいは「街のパン屋さん」ならではの温かさを感じさせるものでした。
次に足を運んだのは、1951年創業の「本家鳥好」。ここは、呉の郷土料理である「みそだき」発祥の店として知られています。「みそだき」とは、親鶏の皮を串に刺し、特製の味噌だれでじっくりと煮込んだ逸品です。親鶏を使用することで、柔らかさの中にもしっかりとした食感が残り、甘さ控えめの味噌の風味が食欲をそそり、お酒との相性も抜群です。さらに、ここでは親鶏の骨付きもも肉を豪快に焼き上げた「骨付焼」や、鹿児島から直送される新鮮な鶏刺しも堪能できます。胸肉は歯ごたえがありながらもさっぱりとした深い味わいで、もも肉は弾力に富み、濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。焼き鳥の種類も豊富で、特に油で揚げられたつくねは印象的でした。これらの料理を通して、「本家鳥好」が長年にわたり地元に愛され続ける理由を深く理解することができました。
今回の呉への旅は、単なる観光ではなく、その土地の歴史と人々の温かさが育んだ食文化を深く体験する貴重な機会となりました。伝統を受け継ぎながらも、常に新しい発想を取り入れる地元の店々の情熱が、訪れる人々に忘れられない味と感動を提供しています。呉の食は、単なる食べ物以上の、深い物語と魅力に満ちています。