トヨタ・モビリティ基金は、愛媛県松山市と手を組み、自転車関連の事故を減少させるための大規模な実証プロジェクトを2026年9月1日より開始しました。この試みは、信号のない交差点で自転車、自動車、そして道路インフラが相互に情報をやり取りするITS(高度道路交通システム)技術を利用し、自転車利用者の安全を確保することを目的としています。
本実証実験の中心となるのは、松山市駅南側の特に高校生が自転車通学に利用する7つの交差点です。これらの地点には「ITSスマートポール」が設置され、約700人の高校生が利用する自転車と、伊予鉄タクシーなど約20台の自動車には「ITS車載器」が搭載されます。このシステムは、スマートポールと車載器が互いの位置や速度を通信で把握し、交差点での衝突の危険が高まった際に、LED表示板や車載器を通じて自転車利用者や運転手に注意を促します。これにより、予期せぬ衝突事故(出会い頭事故)のリスクを未然に防ぎ、潜在的な危険を減少させることを目指しています。この大規模な実証は2026年9月1日から2027年3月19日まで実施され、単に事故件数の減少だけでなく、一時停止遵守率の向上や安全行動の習慣化といった、参加者の行動変容も多角的に評価される予定です。
この取り組みは、トヨタ・モビリティ基金が主催する「タテシナ会議」の自転車・二輪分科会の活動の一環であり、企業が連携して交通事故ゼロを目指すものです。さらに、2026年5月に愛媛県、松山市、今治市、トヨタ・モビリティ基金の四者が結んだ「自転車新文化のさらなる拡大・深化に向けた連携協定」も背景にあります。これは、2027年に松山で開催される世界最大の自転車イベント「Velo-city 2027 Ehime」を契機としたもので、松山市ではITSのような先進技術を活用した事故削減を、今治市では自転車利用環境の改善や安全教育を進めることで、地域全体で新しい自転車文化を築こうとする強い意志が示されています。
未来の交通安全は、単一の技術や政策に頼るのではなく、多様な技術と社会全体の協力によって実現されるべきです。松山市のこの取り組みは、技術革新が地域社会の安全に貢献する模範的な事例であり、持続可能な交通社会の実現に向けた希望の光となるでしょう。