日産エルグランド、16年ぶりの刷新で「和モダン」ミニバンとしての新境地を開拓

長らくその存在感が薄れていた日産エルグランドが、16年ぶりに全面刷新され、再び注目を集めています。今回のフルモデルチェンジでは、市場をリードするトヨタ・アルファードとの明確な差別化を目指し、デザイン、快適性、そして走行性能において新たな方向性を打ち出しました。試乗を通じて、その進化の真価が明らかになりました。
新型日産エルグランド:洗練された和モダンの世界とe-POWERの静寂な走り
2026年9月23日、日産はミニバン市場に新風を吹き込む新型エルグランドを発表しました。16年ぶりとなるこのフルモデルチェンジは、長年大型ミニバンの先駆者でありながら、近年はライバルに販売面で後塵を拝していたエルグランドの復権をかけた意欲作です。
新しいエルグランドの最大の特長は、その洗練された「和モダン」デザインにあります。ゴージャスさを前面に出すのではなく、日本の伝統工芸である組子からインスピレーションを得たというフロントマスクは、控えめながらも上品で落ち着いた印象を与えます。この和の美意識はインテリアにも貫かれており、シンプルでありながら素材の質感を重視した、上質な空間が広がります。
パワートレインは、1.5リットル3気筒エンジンとモーターを組み合わせたe-POWERのみの設定です。エンジンは発電に徹し、前後2基のモーターが4輪を駆動するこのシステムは、圧倒的な静粛性とシームレスな加速感を実現しています。大柄なボディにもかかわらず、ほとんど音もなく滑らかに速度を上げていく感覚は、従来のガソリン車では味わえない独特の体験です。また、e-Pedal機能を使えば、アクセル操作だけで加減速を自在にコントロールでき、長距離ドライブでの疲労軽減にも貢献します。この進化した電動パワートレインは、量産BEV「日産リーフ」で培われた日産の技術力の結晶と言えるでしょう。
シートレイアウトは2-2-3の7人乗り仕様に統一されており、グレードによってシートや内装の素材が異なるものの、走行メカニズムやシートアレンジメントに違いはありません。これにより、どのグレードを選んでもエルグランドならではの上質な乗り心地と使い勝手を享受できます。
新しい価値観を提案するミニバン
新型日産エルグランドの登場は、単なるモデルチェンジ以上の意味を持つと私は考えます。これまでミニバン市場では、派手な外観や豪華絢爛な内装が「ステータス」として求められる傾向がありました。しかし、新型エルグランドは、過度な装飾を排し、本質的な上質さと快適性を追求することで、異なる価値観を提示しています。
「エバることよりも、穏やかな時間を大事にする方へ」というコンセプトは、まさに現代の多くの人々が求めているものかもしれません。移動の時間を単なる移動ではなく、家族や仲間との質の高い時間、あるいは自分自身を癒すための空間へと昇華させたいという願いに応える一台です。静かで滑らかなe-POWERの走り、細部にまでこだわり抜かれた和モダンなデザイン、そして心からくつろげる車内空間は、所有する喜びだけでなく、利用するたびに心を満たしてくれるでしょう。
新型エルグランドは、ミニバンに新たな選択肢をもたらし、これからの時代に求められる「上質で心豊かな移動体験」を提案する、先見性のあるモデルであると確信しています。