旬のサヤインゲンとオレンジワインのマリアージュ:平野由希子氏が提案する新しい味わい




料理研究家の平野由希子氏が、旬の野菜の魅力を最大限に引き出す料理と、それに合うお酒の組み合わせを提案する最新のトレンドを紹介します。今回は、初夏に採れる新鮮なサヤインゲンをフレンチスタイルにアレンジし、その新たな美味しさを発見する試みです。従来の和食での利用法とは異なり、サヤインゲンを異なる調理法で味わい、それにオレンジワインを合わせることで、驚くほどの味の変化が生まれると平野氏は語ります。
この季節、市場には色鮮やかな豆類が豊富に並びます。ソラマメ、キヌサヤ、走り枝豆、そして今回の主役であるサヤインゲンです。サヤインゲンは、江戸時代に隠元禅師によって日本に伝えられたと言われています。日本では通常、ごま和えや料理の彩りとして使われることが多いですが、フランスでは茹でたものをそのままサラダとして楽しんだり、炒め物や煮込み料理にも欠かせない食材です。平野氏自身もフランスを訪れると、まずはサヤインゲンのサラダを作るのが習慣だと言います。日本での調理法では歯ごたえを残すことが多いですが、フランス流にじっくりと加熱することで、サヤインゲンの持つ本来の甘みが際立ちます。この甘みを、複雑な香りと味わいを持つオレンジワインと組み合わせることで、サヤインゲンの印象が一新されるかもしれません。
平野氏が提案するサヤインゲンサラダのレシピは以下の通りです。まず、サヤインゲン200gとベーコン2~3枚を用意します。ドレッシングの材料は、オリーブオイル大さじ2、ワインビネガー小さじ2、粒マスタード小さじ1、イタリアンパセリのみじん切り大さじ1、塩、こしょうです。調理方法は、まずサヤインゲンのヘタを取り除き、たっぷりの塩を加えたお湯で8分以上茹でます。茹で上がったらザルに上げて冷まします。次に、ベーコンを1cm幅に切り、油をひかずにカリカリになるまで炒め、粗熱を取ります。最後に、ボウルにドレッシングの材料をすべて入れて混ぜ合わせ、サヤインゲンを加えてよく和えます。器に盛り付け、炒めたベーコンを散らせば完成です。茹で時間はサヤインゲンの太さや好みに応じて調整可能ですが、最低8分間茹でることで、サヤインゲンの「きこきこ」とした食感がなくなり、甘みが強調されます。柔らかすぎず、ドレッシングとよく絡む絶妙な食感が楽しめます。
今回、このサヤインゲンサラダに合わせるワインとして選ばれたのは、「シャトー・レスティニャック アン・ブラン 2019」です。このワインは、フランス南西部の土着品種を中心にブレンドされており、ソーヴィニヨン各種、セミヨン、シュナン・ブラン、プチ・マンサン、クルビュ、メルロ・ブラン、ミュスカデル、リスタンなどが使われています。熟成は半量を樽で、もう半量をアンフォラで行い、発酵させています。平野氏は、「緑の野菜には爽やかな白ワインも良いですが、それだけでは物足りないと感じることもあります。普段と違う調理法で野菜の新しい魅力を引き出したのなら、複雑で生命力あふれるワインを試してみてはいかがでしょうか。ワインが野菜の表情をより豊かに引き立ててくれますよ」とコメントしています。平野由希子氏は、素材の持ち味を活かしたシンプルかつ美味しい料理に定評があり、書籍や雑誌、広告で活躍する傍ら、飲食店プロデュースや商品開発も手掛けています。日本ソムリエ協会認定ソムリエとして、ワインと料理のペアリングを楽しむ料理教室も主宰しています。
この組み合わせは、サヤインゲンの持つ繊細な甘みと、オレンジワインの複雑な風味が互いを引き立て合い、食卓に新たな感動をもたらすことでしょう。料理とワインの新たな可能性を探る、平野氏ならではの提案です。