海洋堂「ARTPLA SCULPTURE WORKS キングギドラRe:イマジネーション」制作記




2023年11月に新作映画『ゴジラ-0.0』が公開され、そのPVではゴジラ以外のモンスターの声が話題を呼びました。ニューヨークでの先行上映会では、山﨑監督がキングギドラの登場を示唆し、ファンの期待は高まっています。今回、海洋堂のARTPLA SCULPTURE WORKSシリーズから登場した「キングギドラRe:イマジネーション」の制作に焦点を当て、その魅力と制作秘話、そしてキングギドラの色彩にまつわる意外な歴史を深掘りします。このキットは、松村しのぶ氏による原型制作で、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年公開)に登場した宇宙超怪獣キングギドラの迫力を余すところなく再現しており、模型ファンにとっては見逃せない一品と言えるでしょう。
このキットは、合計170個ものパーツで構成されており、一見すると部品点数が多いように感じられますが、その巧妙な設計により、組み立て作業は非常にスムーズに進みます。例えば、全身を覆う鱗や二股の尻尾、さらには三つの異なる表情を持つ首に至るまで、それぞれが芯となるパーツに精密な鱗模様の外皮を貼り付けていく構造を採用しています。この工夫により、完成したモデルの表面には不自然な接合線が目立たず、一体感のある仕上がりを実現しています。また、巨大な二枚の翼は、それぞれが単一のパーツで構成されているため、組み立ての手間を軽減しつつ、その壮大なスケール感を表現しています。さらに、展示ベースは42個のパーツを組み合わせて作られており、破壊された橋や崩れ落ちたトンネル、神社の鳥居などがリアルに再現され、『三大怪獣 地球最大の決戦』の象徴的なシーンを見事に再現しています。
『三大怪獣 地球最大の決戦』で隕石から現れ、金色に輝く宇宙怪獣としてのキングギドラの印象は、多くの人々の記憶に深く刻まれています。長年にわたり、模型やソフトビニール人形などでその姿を目にしてきたため、キングギドラは常に黄金色の存在だと認識されてきました。しかし、今回この模型を塗装するにあたり、「一体キングギドラを何色で塗るべきか」という疑問が生じました。安易に豪華なゴールドで仕上げることも可能ですが、それではキングギドラの持つ本来の魅力を十分に表現できないと感じたのです。
実は、キングギドラの初期設定では、その体は青色で、翼は赤・白・青の三色で彩られる予定でした。ところが、スチール撮影の直前になって、スタッフから「金星から来た怪獣なので、金色だと思っていました」という意見が出ました。この発言が円谷監督の心を捉え、急遽全身を金色に塗り直すことが決定されたと言われています。そのため、『三大怪獣 地球最大の決戦』公開当時のポスターには、三色の翼を持つキングギドラのスチール写真が使用されているものも存在します。後年、このオリジナル設定に基づいた青いキングギドラのフィギュアが発売されたことからも、キングギドラがいかに幅広い人気を持つ怪獣であるかが伺えます。しかし、私自身のキングギドラに対するイメージは、やはり黄金色の宇宙超怪獣そのものです。
それでも、この黄金色の表現を模型で再現するとなると、非常に頭を悩ませる問題でした。『三大怪獣 地球最大の決戦』のDVDを見返し、5000年前に金星文明をわずか3日で滅ぼした宇宙怪獣としてのリアルさを、どのように金色塗装で表現すれば良いのかを深く考えました。映画の中のキングギドラは、画面上ではまるで缶スプレーで塗ったような金色に見えますが、この金色塗料がスーツのラテックスを侵食し、補修作業に大変な労力がかかったという余談もあります。「宇宙超怪獣」、あるいは『怪獣大戦争』で「怪物ゼロ」と呼ばれたキングギドラは、黄金色の体を持つ巨大な宇宙生物です。巨大生物としての迫力と、金色の輝きを両立させることへの挑戦でした。あえて金色を使わずに、巨大宇宙生物としてのリアルさを追求するアプローチも考えられましたが、今回は、10歳の少年が映画館のスクリーンで見た、炎の中から現れる金色の超怪獣の強烈なインパクトをそのままに、「ARTPLA キングギドラRe:イマジネーション」に輝く黄金色の体色として具現化することを選びました。
本記事では、海洋堂の「ARTPLA SCULPTURE WORKS キングギドラRe:イマジネーション」キットの制作を通して、宇宙超怪獣キングギドラの新たな魅力を探求しました。精巧なパーツ構成と原型師のこだわりが詰まったこのキットは、往年のファンはもちろん、新たな世代にもキングギドラの壮大な存在感を伝えることでしょう。映画に登場するキングギドラの色彩設定の歴史を振り返りながら、模型制作における表現の奥深さを再認識し、最終的に「黄金色の宇宙超怪獣」という普遍的なイメージを模型で再現することに成功しました。このキットは、単なる模型に留まらず、キングギドラの歴史と魅力を凝縮した芸術作品と言えます。