矢部修氏のロレックス「チェリーニ」と時計への情熱






トランジットグループの矢部修氏が愛する1977年製ロレックス「チェリーニ」が、彼の人生哲学を映し出す「名刺代わり」の存在であることが明らかになりました。40代で突如として時計への情熱に目覚めた矢部氏は、市場価値にとらわれず、自身の感性に響くヴィンテージモデルを選び続けています。特に、あえて目立たない「気づかれないロレックス」を選ぶ彼のスタイルは、時計を単なる高級品ではなく、個性を表現するアイテムとして捉える現代の時計愛好家たちに新たな視点を提供しています。
矢部修氏は、1975年に仙台で生まれ、栃木で育ちました。ファッションデザイナーのアトリエで経験を積んだ後、カフェやレストラン、ホテル、ブランド空間のプロデュースを手掛けるトランジットグループに参画します。ケータリング事業部でのスタッフ管理、ラグジュアリーブランドのドアマンサービス部門の立ち上げに携わった後、現在はPRチームに所属しています。彼の業務は多岐にわたり、飲食店のみならず、ゴルフブランドやキャンプ施設、ウェルネス事業など、幅広い分野のPR活動を担当しています。
彼が愛用するロレックス「チェリーニ」は、1920年代に誕生したモデルで、ロレックスのスポーツモデルとは異なる、洗練されたドレスウォッチの象徴です。矢部氏が選んだのは1977年製の金ケースにシャンパンゴールドの文字盤、そして繊細なインデックスが特徴の手巻きモデルです。特に注目すべきは、購入したヴィンテージウォッチ専門店で何本もの選択肢から選び抜かれたという、グリーンのレザーベルトです。この細部へのこだわりが、彼の時計に対する深い愛情を物語っています。
若い頃は時間を確認する最低限の機能さえあれば十分だと考えていた矢部氏ですが、40代を迎える頃に突如として時計への熱意が芽生えます。この「時計熱」をきっかけに、彼は真剣に時計と向き合い始めました。最初に手にしたのはデンマークのブランド「アバウトビンテージ」の一本で、特定の知識がない中で、クラシックなデザインに強く惹かれたと言います。元々、70~80年代の音楽や90年代の車といった古いものを好む彼にとって、最初の時計選びも自然とヴィンテージへの関心が影響していたと語っています。
その後、彼の時計コレクションはさらに広がり、チューダーの「ブラックベイ」、カルティエの「マスト タンク」、セイコーの「シャリオ」といった名品が加わっていきました。「これ以上は探すべきではない」と自制しつつも、魅力的な時計が目に飛び込んでくると、どうしても手を出してしまうという彼の言葉からは、時計への尽きない情熱が伝わってきます。彼のコレクションは、単なる時間の道具ではなく、彼の人生の物語を刻む大切なパートナーであり続けています。
矢部氏が自身のロレックスを「まだ気づかれたことはない(笑)」と表現するように、彼は時計を自己顕示の道具ではなく、あくまで自身のスタイルと感性を表現する手段として捉えています。彼の「チェリーニ」は、派手さよりも奥ゆかしい魅力を放ち、所有者の内面を静かに語りかけています。これは、高級時計が持つ本来の価値、すなわち時間とともに深まる愛着や、所有者の個性を引き出す力に焦点を当てた、現代における新たな時計の楽しみ方を示唆していると言えるでしょう。