脳を鍛え、80代でも認知機能を若々しく保つ方法




人間の脳は、一般的に40代後半から50代でそのピークを迎えると言われています。しかし、50代後半からは加齢に伴う認知機能の衰えが始まり、65歳を過ぎると軽度認知障害や認知症のリスクが高まります。それでも、80代になっても50代と同等の集中力や記憶力を維持している人々がおり、彼らは「スーパーエイジャー」と称されています。このような能力は生まれつきの遺伝的要素によるものと思われがちですが、加藤プラチナクリニックの脳内科医、加藤俊徳院長は、「脳は老化するものではなく、むしろ若返ることができる」と提唱しています。1万人以上のMRI脳画像を分析した経験から、加藤院長は脳が他の臓器とは異なり、適切な方法によって年齢を重ねても成長を続けられると指摘し、その具体的な手法を著書『80代でも若返る脳』で解説しています。
加藤院長が提唱する「脳番地」という概念は、脳が無数の神経細胞の集まりでありながら、それぞれが特定の機能を担う領域に分かれていることを示しています。例えば、思考を司る「思考系脳番地」や感情をコントロールする「感情系脳番地」など、大きく分けて8つの脳番地が存在します。これらの脳番地は、何か一つの刺激に対して単独で働くのではなく、常に複数の領域が連携し合って機能します。例えば、一枚の絵を鑑賞する際、視覚系が絵の形や色を捉え、感情系が感動を生み出し、思考系や理解系がその感動の理由を分析するといった具合です。このように、脳内の広範なネットワークを活発に使うことが、脳を鍛え、その機能を維持・向上させる鍵となります。スーパーエイジャーたちは、まさにこの多角的な脳番地連携を日常生活で実践していると、加藤院長は述べています。
加藤院長の著書では、各脳番地を刺激し、「スーパーエイジャー」のような脳を目指すための多様なトレーニング方法が紹介されています。その中の一つが「逆算予定表」の作成です。この方法では、その日の就寝時間から逆算して、入浴、夕食の準備、掃除など、日々の活動を具体的に計画していきます。これにより、普段の何気ない行動が「予定」という枠組みの中で課題となり、脳に「張り合い」を与えます。この「張り合い」が、複数の脳番地を連携させ、協調して課題をクリアしようと促すのです。一日の終わりには、立てた予定がどの程度達成できたかを10点満点で評価し、計画の調整を行います。点数が低ければ、予定が多すぎたことを示唆し、高ければさらに多くの活動を取り入れる余地があると考えられます。この逆算予定表の作成自体が、思考系、視覚系、理解系、記憶系といった脳番地を活性化させ、計画に組み込まれた個々の行動も、それぞれに対応する脳番地を刺激するため、漫然と過ごすのではなく、意識的に活動することが脳の若返りにつながります。
脳は加齢によって衰えるという従来の考え方に反し、加藤俊徳院長の研究は、適切な訓練と意識的な生活習慣によって、いくつになっても脳の成長と活性化が可能であることを示しています。日々の生活の中で脳の各機能を意識し、連携させることで、誰もが「スーパーエイジャー」のように、高い認知機能を維持し、充実した人生を送る道が開かれるのです。未来に向けて、私たちの脳の可能性は無限大であり、その力を最大限に引き出す努力は、より豊かな人生を築くための重要な一歩となるでしょう。