非常時のカセットガス活用術:省エネ調理で温かい食事を確保








コンビニエンスストアやスーパーマーケットで手軽に入手でき、価格も抑えられているカセットガスは、普段の卓上料理でよく使われるアイテムです。しかし、その利用範囲は鍋料理だけに留まらず、特に非常時には計り知れない価値を発揮します。本稿では、災害などで電気や都市ガスが利用できない「もしもの時」に、カセットガスを使って心身を温めるための効率的な活用法を提案します。キャンパーでもある筆者が、カセットガス1本でどれだけのことができるのかを実際に検証しました。
本記事で紹介する調理法は、複数の料理を同時進行で、あるいは次の調理のついでに温めることで、ガスの消費量を約8割削減することを目指しています。一本のカセットガスを無駄なく大切に使い切る工夫が凝らされており、普段使いのカセットコンロでも実践可能です。
まず、手軽にできる「保温調理」は、カレーやシチュー、煮物などに最適です。食材(火の通りにくいものは小さめに切るのがコツ)を鍋に入れ、沸騰後1~2分加熱したら火を止めます。その後、鍋全体をバスタオルで包み、保温バッグや発泡スチロールの箱に入れて30分から1時間ほど放置するだけ。この余熱を利用することで、食材の中心までじっくりと火が通り、焦げ付きや煮崩れも防げます。この燃焼時間の短い方法なら、ガスの消費を約8割も節約でき、カセットガス1本で数日分の温かい食事が用意できるでしょう。
次に、一つの鍋で複数の料理を同時に作る「湯せん調理」も非常時に非常に役立ちます。この方法の最大の利点は、鍋のお湯が汚れないため、調理後に残ったお湯を湯たんぽや足湯といった「温活」など、別の用途に何度も再利用できる点です。今回は、パックご飯、麻婆豆腐、汁物の三品を同時に湯せん調理に挑戦しました。
具体的な調理法として、耐熱性のあるポリ袋に市販の麻婆豆腐の素と崩した豆腐を入れ、湯せんします。汁物には、保存しておいた市販の温めるタイプのスープを使用。ご飯とおかずが温まったら火を止め、空いたスペースに未開封のサバ缶や焼き鳥缶など好みの缶詰を3~5分沈めるだけで、もう一品追加できます。
缶詰を湯せんで温めることには、多くのメリットがあります。熱が全体に均等に伝わることで、食材がしっとりと柔らかく仕上がり、常温では固まっている缶詰の脂も溶けて、旨味が格段にアップします。これにより、ただの缶詰が温かいご馳走へと姿を変え、ガス代の節約にも繋がるため、非常時にはまさに一石二鳥の調理法と言えるでしょう。