革職人・草ヶ谷昌彦が語るロレックス「オイスター ロイヤル」:個性を映すヴィンテージウォッチの魅力





革職人として日々革と向き合う草ヶ谷昌彦氏は、その独自の視点でロレックスのヴィンテージウォッチ「オイスター ロイヤル」を語ります。彼の言葉からは、時計が単なる時間を刻む道具ではなく、持ち主の人生、哲学、そしてスタイルを映し出す「名刺代わりの存在」であることが伝わってきます。市場価値にとらわれず、自身に寄り添う一本を選ぶ草ヶ谷氏の選択は、多くの時計愛好家にとって示唆に富むものでしょう。
革職人・草ヶ谷昌彦氏とロレックス「オイスター ロイヤル」が紡ぐ物語
東京都で1981年に生を受けた草ヶ谷昌彦氏は、父親が立ち上げたレザーブランド「ブルックリン ミュージアム」を継承し、現在では代表取締役兼プロダクトデザイナー、そして革職人として第一線で活躍しています。彼の技術とセンスは高く評価され、LEXUSが選ぶ「日本の若き匠」にも名を連ねています。
草ヶ谷氏が愛用するのは、1930年代から1950年代にかけて展開された手巻き式のロレックス「オイスター ロイヤル」です。このモデルは、ロレックス独自の防水ケース構造「オイスター」と、初期のモデルから使われてきた「ロイヤル」の名称が組み合わさったもので、ねじ込み式のケースバックとリューズによって高い気密性を誇ります。ケース径は30mm前後と小ぶりで、日付表示のないシンプルな3針スタイルが特徴的です。後年のスポーティーなモデルとは異なり、「オイスター ロイヤル」は控えめながらも上品な魅力を放ちます。草ヶ谷氏の個体は、長年の使用によって文字盤に美しい焼けが生じ、ヴィンテージならではの深みのある表情を醸し出しています。
時計に興味を持ち始めたのは10代の頃だったという草ヶ谷氏。当時のストリート系雑誌に掲載されていた記事をきっかけに、ファッションアイテムとして、また「上質な時計といえばロレックス」という認識から、同ブランドへの憧れを抱くようになりました。しかし、彼は一般的な人気モデルには惹かれなかったと語ります。「サブマリーナー」や「GMTマスター」といった当時の主流モデルには目もくれず、人とは違う個性を追求する彼の「天邪鬼」な性格が、現在の愛機「オイスター ロイヤル」との出会いに繋がったのです。
時計選びにみる、個性の追求と本質的な価値
草ヶ谷氏がロレックス「オイスター ロイヤル」を選ぶ背景には、彼自身の人生観と職人としてのこだわりが色濃く反映されています。彼は単に流行を追うのではなく、自身のスタイルに本当に合致するものを時間をかけて見極めることを重視しています。この姿勢は、彼が手掛ける革製品にも通じるものであり、使い込むほどに味わいを増すヴィンテージウォッチの魅力と重なります。
現代社会では、様々な情報に囲まれ、時に他者の評価や市場価値に流されがちです。しかし、草ヶ谷氏のように、自分自身の内なる声に耳を傾け、本当に価値を感じるものを選ぶという行為は、物質的な豊かさだけでなく、精神的な充足をもたらします。彼の「オイスター ロイヤル」は、単なる時間の表示装置ではなく、彼自身の分身であり、人生の伴侶なのです。
彼の時計選びの哲学は、私たちに「真の価値とは何か」「自分にとって本当に大切なものとは何か」を問いかけます。それは、流行に左右されない普遍的な美意識と、自分自身の感性を信じることの重要性を教えてくれるかのようです。