高齢者の国際比較:日本の高齢者の社会的なつながりと就労意欲





2026年版高齢社会白書にて、日本、米国、ドイツ、スウェーデンの65歳以上の高齢者に関する国際比較調査の結果が発表されました。この調査は、高齢者の社会的なつながり、就労意欲、そしてデジタル機器の利用状況に焦点を当てています。特に日本は、同居家族以外の友人や近所の人に頼る傾向が他国に比べて著しく低いことが明らかになりました。その一方で、高齢者の就労意欲は他国を上回る結果となり、高齢者の生活意識や社会参加のあり方に多様な側面があることが示唆されています。
この国際調査は、2025年9月から11月にかけて4カ国で実施され、その詳細が今年の6月に公表されました。調査結果によると、同居家族以外に「頼れる人がいる」と回答した日本の高齢者は82.1%で、ドイツの95.7%、スウェーデンの78.1%、米国の72.5%と比較しても特段低いわけではありませんでした。しかし、その「頼れる人」の内訳を見ると、日本と他国との間で顕著な違いが見られます。具体的には、「友人」を頼れると答えた日本の高齢者は13.7%に過ぎず、ドイツの61.0%と比べると大きな隔たりがあります。同様に、「近所の人」を頼れるとした日本人は12.9%で、ドイツの52.0%を大きく下回っています。このことから、日本の高齢者は、別居している家族や親族に依存する傾向が強く、地域社会や友人との間での社会的なつながりが希薄であることが伺えます。
また、収入を伴う仕事への意欲に関して、「今後も仕事をしたい、あるいは続けたい」と答えた日本の高齢者は39.0%に達し、米国(24.3%)、ドイツ(19.8%)、スウェーデン(19.1%)を上回り、4カ国中最も高い結果となりました。日本、米国、ドイツでは「収入が欲しいから」が主な動機として挙げられていますが、スウェーデンでは「自身の知識や能力を活かしたいから」という回答が最も多く、働くことへの価値観の違いも浮き彫りになりました。
情報通信機器の利用状況についても興味深い結果が出ています。各国とも8割から9割の高齢者が携帯電話やスマートフォンで家族・友人と連絡を取っていると回答しましたが、インターネットバンキングや金融取引、行政手続きをインターネットで行う割合においては、日本が他国に比べて著しく低いことが判明しました。例えば、インターネットバンキングの利用率はスウェーデンが94.2%、米国が73.9%、ドイツが31.7%であるのに対し、日本はわずか10.0%でした。行政手続きのオンライン利用に関しても、スウェーデンが71.4%、米国が33.7%、ドイツが26.1%である中、日本は9.2%と最低レベルでした。この結果は、日本の高齢者のデジタルデバイドが依然として存在し、デジタルサービスの普及において課題があることを示しています。
これらの調査結果から、日本の高齢者社会が抱える特徴が見えてきます。社会的なつながりの希薄さ、高まる就労意欲、そしてデジタル化への適応の遅れは、今後の高齢化社会を考える上で重要な視点となるでしょう。これらの課題に対処し、高齢者がより豊かで充実した生活を送れるような社会制度や支援の必要性が改めて浮き彫りとなりました。