「ゆるブラック企業」の実態:5年間で160人が退職した会社がSNSで話題に

近年、「ゆるブラック企業」という言葉が社会現象となっています。表面上は厳しくないように見えても、内実では過酷な労働環境や不合理な経営が横行し、社員の心身に大きな負担を強いる企業を指すものです。今回ご紹介するのは、漫画家かっぱ子さんの実録漫画「220人の会社に5年居て160人辞めた話」。この作品は、まさにそうした「ゆるブラック企業」の典型的な事例を描いており、SNS上で「経営陣の暴論がリアルすぎて胃が痛い」「責任感の強い人ほど逃げ遅れる構造がリアルに描かれている」と大きな反響を呼んでいます。
かっぱ子さんが勤務していた会社は、残業が常態化し、営業部門は体育会系の風潮が強く、ノルマや納期は非常に厳しかったと言います。それにもかかわらず、ボーナスはわずか0.1カ月分という、お年玉程度の金額でした。このような劣悪な環境が続く中、有能な人材が次々と会社を去り、業績は悪化の一途を辿りました。事態を重く見た経営陣は、ついに強硬な手段に出ます。
かっぱ子さんが入社して3年が経過した頃、業績悪化に業を煮やした社長は全社員を緊急招集しました。そして、「無能の集まり」「給料が低いと愚痴ばかり」と社員を厳しく叱責し、「結果を出さない者に給与を払う理由はない」と断言。さらに、「始業30分前に出社し、『自分たちの何が悪いのか』を話し合うミーティングを行うように」と命令しました。加えて、次年度に入社する新入社員たちを「ベンチャー社員」と名付け、社長の息子である副本部長が直接指導にあたるため、他の社員は一切指導しないという不可解な方針が打ち出されました。翌日から始まった早朝ミーティングでは、まだ実務経験のない新入社員たちが「愚痴る前に行動」「行動力が足りない」といった“正論”を連発し、社内の雰囲気は完全に冷え切ってしまいました。新卒社員からの心ない言葉に、かっぱ子さんも心を病みかけましたが、それでも彼女が会社に留まり続けた背景には、強い責任感がありました。
当時の状況を振り返り、かっぱ子さんは「この時期はネコ美先輩が休職してしまい、後輩が3人入ってきた時でした。今辞めてしまえば、後輩が大変になる。防波堤としてここにいなければ、そして部署として立て直さなければならない、そう思いました」と語っています。退職する機会は何度かあったものの、毎年「部署が営業と統合されて新しい動きがあるかもしれない」と期待を抱いたり、先輩の休職が重なったりと、安心して退職できる状況が訪れませんでした。責任感から周囲の負担を考慮している限り、なかなか退職の決断を下すことは難しいものです。かっぱ子さんの体験は、本当に会社を辞めようと決意する際には、職場の人間関係を一度割り切り、自分自身の人生を最優先にすることの重要性を静かに示唆しています。