井伊百合子の「山」との邂逅:自然が織りなす深い呼吸の時間







山がもたらす、心と体の解放。
偶然から始まった山への情熱:スタイリスト井伊百合子の新たな発見
スタイリストとして多忙な日々を送る井伊百合子氏が、山登りとの出会いを語る。その始まりは、約6年前、彼女の子供の林間学校用の登山靴を買いに専門店を訪れた時だったという。店頭に並ぶ登山靴を前に、子供との会話から自然と湧き上がった「自分も欲しい」という気持ちが、彼女を新たな世界へと誘った。周囲の友人たちが山登りを始めたことも後押しとなり、井伊氏は即座に最初の一歩を踏み出した。
過去の体験と新たな好奇心:大人の山登りへの道のり
井伊氏の父親も山登りが趣味であったため、幼少期に山へ連れて行かれた経験はあったが、当時はその魅力に気づかなかった。しかし、時を経て大人になり、自身の内なる好奇心に導かれて向かったのは、山梨・長野県境に位置する金峰山だった。友人たちと共に足を踏み入れた初登山は、あいにくの小雨と霧に包まれ、眺望は望めなかった。
霧の中での気づき:五感で感じる山の本質と深い呼吸の体験
「初心者だった私にとっては、悪天候すら山の現実として新鮮に映った」と井伊氏は語る。視界の悪さや肌寒さも、都会とは異なる非日常的な体験として彼女の五感を刺激した。初めての本格的な登山は肉体的に過酷であったものの、スタイリストとして独立し、結婚・出産を経て、仕事と育児に奮闘する中で無意識に息を詰めていた自分に気づかされたという。山での激しい息切れは、「体がこれほどまでに呼吸を求めているのか」という深い気づきを与え、素晴らしい景色がなくとも、山の香りや空気、五感で感じ取ったすべてが、彼女にとってかけがえのない経験となった。下山後、友人たちと交わす「次はどこの山に登ろうか」という会話は、すでに次の山旅への期待に満ちていた。