台湾の最高峰、玉山を親子で登頂:小屋泊で森林限界を超え、4,000m級の頂へ
























写真家である猪俣慎吾氏と彼の息子たっちゃんが、新たな冒険の舞台として台湾の玉山を選んだ。これまでキナバル山、キリマンジャロ、そして富士山を制覇してきた彼らにとって、標高3,952mを誇る東アジア最高峰への挑戦は、親子の絆を深める貴重な体験となった。この旅は、単なる登山に留まらず、雄大な自然の中で高山病への順応を図りながら、自己の限界に挑む精神的な成長の物語でもある。
台湾最高峰「玉山」親子登頂の軌跡
2026年7月某日、写真家の猪俣慎吾さんと息子のたっちゃんは、台湾の壮大な自然に包まれた玉山へと向かった。3月末という時期は通常、冬季とみなされ登山者が少ないため、彼らは比較的スムーズに入山許可証を取得できた。沖縄よりも南に位置する台湾で、4,000m級の山頂付近に雪が舞うという珍しい体験は、彼らにとって新たな驚きをもたらした。
登山の初日、親子は期待に胸を膨らませて登山口から出発した。YouTubeでの事前学習が功を奏したのか、たっちゃんは今後の山行へのワクワク感を隠しきれない様子で、終始饒舌だった。整備された登山道を約4時間半歩き続けた後、彼らはこの日の宿泊地である排雲山荘に無事到着。夕食にはビュッフェ形式の台湾料理が振る舞われ、二人はその美味しさに舌鼓を打った。
登山2日目は、深夜2時の起床という過酷なスケジュールで始まったが、たっちゃんは慣れた様子で目覚めた。外気温は2度前後だったが、適切な防寒着を着用していたため、寒さは問題なかった。雪は降っていなかったものの、暗闇の中、親子はヘッドランプの明かりを頼りに慎重に足を進めた。山頂付近は岩場が続くため、慎吾さんは息子に「気を付けて行こう!」と声をかけながら、一歩一歩確実に登り続けた。そして午前5時半、彼らはついに玉山山頂に到達した。強風が吹き荒れる中、目の前には東の空から昇る朝日と、風に舞う雲が織りなす息をのむような絶景が広がっていた。親子はしばらくの間、言葉を失い、その壮大な光景に見入っていた。
この山行の所要時間は、1日目が排雲登山サービスセンターから塔塔加登山口を経由し、排雲山荘までが4時間35分。2日目は排雲山荘から玉山主峰まで2時間、排雲山荘へ戻るのに1時間30分、さらに塔塔加登山口まで3時間半、最後に排雲登山サービスセンターまでバスで5分という内訳だった。合計7時間5分の行程で、彼らは無事に玉山登頂を達成した。
今回の玉山登頂は、猪俣親子にとって単なる体力的な挑戦に留まらず、精神的な成長と自然への深い畏敬の念を育む機会となった。高山病のリスクを管理しつつ、山荘泊という計画的なアプローチを取ることで、彼らは安全かつ充実した登山を実現した。このような体験は、子どもたちの冒険心を育み、困難を乗り越える力を養う上で非常に重要である。雄大な自然の中で親子が共有した感動は、彼らの心に深く刻まれ、今後の人生においてかけがえのない財産となるだろう。この挑戦が示すように、適切な準備と心構えがあれば、たとえ標高4,000m級の山であっても、子どもと共にその頂を目指すことは十分に可能なのである。