喜界島産サトウキビが育む黒糖焼酎の魂:朝日酒造の挑戦

風土を醸す、奇跡の一滴
喜界島に根差すサトウキビ栽培の軌跡
喜界島は、鹿児島県から南へ380kmに位置する、風光明媚な珊瑚の島です。この地で、朝日酒造は四半世紀前からサトウキビの自家栽培を始めました。2011年に四代目を継いだ喜禎浩之氏の指揮のもと、2015年にはサトウキビ畑と黒糖が有機JAS認証を取得。横殴りの雨風にも負けず、たくましく育つサトウキビは、島の自然と共に生きる蔵元の象徴です。平坦な地形がもたらす均等な日当たりと、風が運ぶ虫除けの効果が、健やかな生育を支えています。
土壌への深い愛情が育む、豊かな恵み
朝日酒造のサトウキビ栽培は、土壌への深い配慮に支えられています。切り落とされた葉、サトウキビの搾りかす、焼酎かす、さらには米のとぎ汁まで、あらゆる有機物を畑に戻す循環型農業を実践。この取り組みにより、土壌は年々肥沃になり、サトウキビの細胞壁は強化され、病害虫への抵抗力も向上しました。ふかふかと弾力のある畑の土は、島の豊かな生態系を育む基盤となっています。
サトウキビ本来の風味を追求する製糖技術
収穫されたサトウキビは、鮮度を保つため迅速に製糖されます。圧搾して得られるジュースは、淡い緑色のノートが特徴。上品な甘みとほのかな酸味、そしてなめらかな口当たりは、純粋なサトウキビの味わいを凝縮したものです。化学肥料不使用の栽培と、苦味成分を含む穂先を手作業で取り除くことで、えぐみのない、澄み切った風味を実現。「サトウキビの青さ」を表現することこそ、浩之氏の掲げるテーマです。
喜界島の魅力を伝える黒糖焼酎
浩之氏の社是は「黒糖焼酎を通して、喜界島を伝える」こと。テーマパークやリゾートホテルのような華やかさはないものの、それが島の真の魅力だと彼は語ります。サトウキビジュースはその後、石灰でpH調整され、2時間ほど煮詰めた後、ダイス状にカットされます。この一連の熟練した作業を担うのは、農業部のベテランたちです。現在、自社栽培の黒糖を全量使用する焼酎はヴィンテージ品に限られますが、全ての銘柄に少量の自家製黒糖をブレンドすることで、喜界島の魂を宿した焼酎造りを続けています。