国分寺の伝説的な「でんえん」:98歳の看板娘が紡ぐ70年の歴史

心安らぐ音楽と、時代を超えた美意識が融合した特別な場所
「でんえん」の顔、98歳の店主が迎える時間
重厚な木製ドアを開けると、そこにはいつも店主の新井富美子さんの姿があります。御年98歳でありながら、彼女は店の「看板娘」として、来店する客を温かく迎え入れます。戦後はGHQに勤務し、今でも週に一度ネイティブスピーカーと英語を学ぶという知的な一面も持ち合わせています。多くの常連客が彼女に会うために足を運ぶというのも納得の魅力があります。
70年続く歴史と、変わらぬレトロな美空間
来年には開業70周年を迎える「でんえん」。40年以上前にご主人を亡くされてからも、新井富美子さんが一人でこの店を守り続けてきました。少し抑えられた照明と、壁に飾られた絵画が醸し出すレトロな雰囲気は、開店当初から変わらないといいます。ここでは、美しいクラシック音楽が心地よく響き渡り、弦楽器や木管楽器の柔らかな音色が耳に優しく、穏やかなひとときを演出します。
心温まる自家製メニューと、著名人が愛した歴史
「でんえん」では、自家製のレアチーズケーキ(600円、コーヒーセットは1000円)や、丁寧に淹れられたブレンドコーヒー(500円)を楽しむことができます。現在はCDで音楽を流すことが多いですが、1000枚を超える手書きのレコードリストも店の歴史を物語っています。学生時代の竹中直人氏が通っていたり、作家の五木寛之氏の著作にも登場するなど、数々の著名人にも愛されてきたこの場所は、国分寺の街の歴史と共に多くの物語を積み重ねてきました。誰もが愛さずにはいられない心地よさの中で、心ゆくまで穏やかな時間を過ごせる場所です。