本稿では、東京で九州地方の海の幸や郷土料理を堪能できる二つの名店を紹介します。鹿児島県からは、地元で親しまれる温かい味わいの料理を提供する店、そして佐賀県からは、新鮮なイカを特別な技術で提供する店を取り上げ、それぞれの店舗が持つ独自の魅力と、東京にいながらにして九州の味覚を楽しめる贅沢な体験を深く掘り下げていきます。
これらの店舗は、ただ料理を提供するだけでなく、食材へのこだわりや、地域文化への敬意が感じられる場所であり、訪れる客にとって忘れがたい食体験を約束します。東京の中心で、遠く離れた九州の豊かな食文化に触れることができる貴重な機会を、ぜひこの機会に体験してみてはいかがでしょうか。
鹿児島:郷土の温かさが息づく「郷土料理 薩摩の里」
高田馬場に位置する「郷土料理 薩摩の里」は、鹿児島出身の店主が営む、まるで現地の居酒屋のような雰囲気を持つ店です。壁一面に並ぶ短冊メニューには、甑島産のキビナゴや、骨が柔らかくなるまで煮込んだ豚のアバラ肉の味噌仕立て「とんこつ」、串木野名物の「つけあげ」(さつまあげ)など、家庭で愛される品々が並びます。特に注目すべきは、地元漁師に珍重されるカツオの腹皮。軽く干した腹骨部分を半生に焼き上げ、大根おろしとポン酢で味わうと、カツオの濃厚な旨みと香りが口いっぱいに広がり、お酒が進みます。開店から30年近く、変わらない温かい雰囲気と優しい味わいで、多くの常連客に愛され続けています。
この店では、鹿児島に深く根付く食文化を東京で体験できる貴重な場所です。店主の山下由人氏は、18歳で上京し、40歳でこの店を開業しました。以来、故郷の味を東京の人々に届けることに情熱を注ぎ、その努力が実を結び、店は今年で30周年を迎えます。料理は、きびなごの刺身(528円)、芋焼酎「伊佐美」(700円)、カツオの腹皮(660円)など、手頃な価格で本場の味が楽しめます。締めには麦味噌を使ったさつま汁も用意されており、心温まる食事の締めくくりに最適です。飾らない魅力と心地よい空間は、訪れる人々に薩摩の風景を思わせ、都会の喧騒を忘れさせてくれることでしょう。営業時間は17時から23時(ラストオーダー22時半)、日曜定休で、高田馬場駅戸山口から徒歩6分の場所にあります。
佐賀:最先端技術が叶えるイカの美味「新宿251(ニコイチ)」
新宿に店を構える「新宿251(ニコイチ)」では、佐賀県呼子産の剣先イカを使った「イカの姿造り」(4500円)が、食通たちの間で評判を呼んでいます。通常、現地でしか味わえない釣りたてのイカの鮮度を、最新の冷凍技術を駆使して東京で再現。店主の下畑博文氏は、お笑い芸人としての顔も持ちつつ、妻の実家が呼子で海産物の流通・加工業を営んでいる縁から、厳選されたイカを仕入れています。釣り上げられたイカはすぐに締められ、細胞組織の損傷を最小限に抑える特殊冷凍処理が施されます。注文を受けてから流水解凍することで、透明感あふれる身は、最初はコリッとした歯ごたえ、噛み進むうちにねっとりとした食感と濃厚な甘みが広がり、活イカをも凌ぐと言われるほどの絶品です。
「新宿251(ニコイチ)」は、新宿駅新南改札から徒歩5分の便利な立地にあります。店主の下畑氏は、地元の漁師がイカをさばいた後に冷凍保存すると甘みが増すという話から着想を得て、この画期的な冷凍技術を導入しました。剣先イカの姿造りは、その鮮度と味わいから「飲み込むのが惜しい」と称されるほどです。また、佐賀名物以外にも、福岡出身の店主が惚れ込んだもつ鍋や胡麻サバなど、九州各地の美味が楽しめます。特にランチタイムには「剣先イカ丼」も提供されており、昼夜問わず多くの客で賑わっています。営業時間は火曜日から金曜日の12時から13時半(ランチラストオーダー)、17時から24時(フードラストオーダー23時、ドリンク23時半)、日曜日は定休日です。住所は東京都渋谷区千駄ヶ谷5-32-5GSハイム新宿南口1階です。