東洋医学で読み解く「肝鬱」:夫婦間の不調和を解消する処方箋

夫婦の調和を取り戻す:中医学が導く心の平静
感情の波に揺れる夫婦関係:夫が抱える妻への懸念
普段は穏やかな夫婦でも、時に妻の感情が激しく揺れ動き、夫を困惑させる瞬間があります。どんな言葉も逆効果に、かといって何もせずにいれば不満を募らせる。このような状況に直面した夫は、「どうすれば良いのか」と途方に暮れてしまいます。もしこの感情の起伏を、単なる性格の問題や夫婦間の不和としてではなく、身体からのSOSとして捉えることができれば、その嵐をより寛容な心で受け止められるかもしれません。
中医学が示す感情の根源:「肝鬱」とは
この連載では、国際中医専門員の志村幸枝先生が、中国の伝統医学の知恵を紐解き、身体の不調のサインを読み解きます。今回の相談者は、普段はご夫婦で来院される50代のエンジニア男性。この日は一人で診察室を訪れ、こう切り出しました。「先生、妻のことなのですが…。いつもではないのですが、時折ひどくイライラしたり、落ち込んだりするんです。家事の負担や仕事のストレスも重なっているのだとは思うのですが、この前は私の貧乏ゆすりにさえ苛立ちをぶつけられました。妻が冷静な時には、『普段なら気にしないような些細なことが、感情を逆撫でされて我慢できなくなる』と言うんです」。
夫の戸惑いと専門家のアドバイス
男性はさらに続けます。「良かれと思って家事を手伝おうとキッチンに立つと、『邪魔だからやめて』と言われ、黙って静かにしていれば、『何もしてくれない』と怒られる。一体どこに地雷があるのか全く分かりません。妻のイライラに対して、私にできることがあるのなら知りたいです」。小さくため息をつく彼に、志村先生は深く頷き、温かい声で答えました。「よくぞ話してくれましたね。ご主人、実はそれは中医学では『よくある悩み』の一つなのです。私たちはこれを『肝鬱(かんうつ)』と呼んでいます。こうしてご自身から話を聞きに来てくださるなんて、本当に素晴らしいことですね」。そう言いながら先生は、嬉しそうな様子で語り始めたのでした。