植物と繋がる本屋「草舟あんとす号」:癒やしの空間を創る宮岡絵里の物語





東京都小平市小川町に佇む小さな書店「草舟あんとす号」は、訪れる人々に植物を通じた癒しと発見を提供しています。このユニークな書店は、植物に関する書籍のみを取り扱い、オーナーである宮岡絵里さんの植物への深い愛情と知識が凝縮された空間です。元は建材卸会社のガーデンハウスだったという約6畳の建物は、金柵と同じデザインのステンドグラスが柔らかな光を店内に導き、ZINEや絵はがき、ポスターなども並べられ、穏やかな雰囲気を醸し出しています。この書店は、焼き菓子店「コナフェ」と生花店「コトリ花店」と共に「ホーリーガーデン」と名付けられた敷地内にあり、地域の人々にとって、植物と触れ合い、心豊かな時間を過ごすための大切な場所となっています。
宮岡絵里さんがこの特別なコンセプトの書店を立ち上げるまでの道のりは、彼女自身の植物との関わりが深く影響しています。武蔵野美術大学を卒業後、ハーブガーデンでガーデナーとして勤務し、バッチフラワーレメディを学ぶ中で、植物の生命力や知恵についてより深く探求したいという思いが芽生えました。しかし、園芸の知識習得に没頭するあまり、植物との精神的なつながりを見失っていた時期もあったと言います。その後、フラワーレメディとタロットのセッションを行いながら、西荻窪の書店「ナワ・プラサード」での経験を経て、2017年4月に「植物の本屋 草舟あんとす号」を開店しました。彼女が特に影響を受けたと語るバーネットの『秘密の花園』や岡倉天心の『茶の本』は、植物が持つ本質的な美意識や、人間と植物との繊細な関係性について深く考えさせるきっかけとなりました。特に、『茶の本』に描かれた、美を追求するために花が貢献するという覚悟の表現は、宮岡さんの心に強く刻まれています。
宮岡さんの選書は、一冊一冊に彼女の想いが込められており、書棚には小説から海外の花図鑑まで、多岐にわたる植物関連書籍が並びます。これらの本を通じて、人々が植物の世界に没頭し、新たな発見や心の安らぎを得られるようにという願いが込められています。この書店は、単なる本の販売場所にとどまらず、植物と人間が共生する豊かな文化を育む、まさに知恵と癒しのオアシスと言えるでしょう。イベントや展覧会も不定期で開催され、植物と人との対話を深める機会を提供しています。
「草舟あんとす号」は、植物が持つ普遍的な魅力と、本が持つ知識の力を融合させることで、現代社会に生きる私たちに、穏やかで思慮深い時間を与えてくれます。この場所は、自然とのつながりを再認識し、日々の生活に感謝と喜びを見出すきっかけとなることでしょう。植物と本の出会いが織りなすこの空間で、私たちは自分自身と向き合い、内なる平和を見つけることができるはずです。