白金の老舗蕎麦店「利庵」で味わう、思い出の味と蕎麦前、そして究極のわらびもち











蕎麦と酒をこよなく愛する小宮山雄飛氏が、白金に位置する老舗蕎麦屋「利庵」を訪れ、その魅力を余すことなく語る。幼少期に父親に連れられて以来のなじみの店で、枡酒から始まる蕎麦前、そして昔から変わらない「出汁巻き玉子」や「鳥パリ」といった逸品を楽しむ。締めには、父の好物であった「天せいろう」と、驚くほどなめらかな自家製わらびもちを堪能し、世代を超えて愛される店の温かい雰囲気と味の記憶を辿る。
懐かしさと新発見が織りなす蕎麦前の悦楽
食通としても知られる小宮山雄飛さんが、昔から通う白金の老舗蕎麦店「利庵」を訪れました。彼にとって、蕎麦への情熱の原点は父親との思い出にあります。幼い頃から様々な名店に連れて行ってもらい、蕎麦の奥深さに触れてきた中で、「利庵」もまた、父親との記憶が詰まった特別な場所です。大人になった今、彼が最初に注文するのは、ヒノキの香りが食欲をそそる定番の「枡酒」。お酒を頼むと提供される海老の頭を揚げたお通しが、日本酒の風味を一層引き立て、至福のひとときを演出します。かつての思い出に浸りながらも、新たな蕎麦前の楽しみを発見する小宮山さんの姿は、読者にもその魅力が伝わることでしょう。
小宮山雄飛さんが「利庵」でまず楽しむのは、日本酒と共にする「蕎麦前」です。特に印象的なのは、彼が幼い頃から親しんできた「出汁巻き玉子」。外側はしっかり、内側はとろけるような絶妙な火加減で、東京らしい醤油と甘さのバランスが懐かしさを呼び起こします。さらに、この店ならではの新しい発見として、「鳥パリ」が登場します。名古屋コーチンを使ったこの一品は、皮がパリパリ、肉はジューシーで、一口食べればそのコントラストが食通を唸らせます。これらの料理は、ただの酒肴ではなく、小宮山さんの記憶と深く結びつき、訪れるたびに新しい感動を与えてくれる存在です。「利庵」の蕎麦前は、伝統と革新が融合した、まさに珠玉の逸品と言えるでしょう。
江戸の粋を感じる締め蕎麦と甘味の誘惑
蕎麦前を心ゆくまで楽しんだ後、小宮山さんが次に選ぶのは、亡き父親が愛した「天せいろう」です。この一品は、通常のエビ天とは異なり、利庵独自の「エビのかき揚げ」が特徴。しっとりとしたかき揚げに添えられた揚げ玉が、独特のサクサク感を演出し、食感の妙を際立たせます。二八蕎麦で打たれた細麺は、みずみずしく、甘めのつゆとの相性も抜群で、まさに江戸の蕎麦文化を感じさせる逸品。通し営業のため、ランチはもちろん、小腹が空いた時に気軽に立ち寄って蕎麦を「たぐる」ことができるのも、江戸っ子らしい粋な楽しみ方と言えるでしょう。
「利庵」での食事の締めくくりは、蕎麦だけでは終わりません。小宮山さんが特に絶賛するのが、自家製の「わらびもち」です。箸で持ち上げるのが難しいほどの柔らかさで、口に入れた瞬間にとろけるような瑞々しさが広がります。適度な弾力もありながら、すっと消えていく口どけは、酒を嗜む大人をも魅了する至高の甘味です。このわらびもちは、単なるデザートではなく、長年の歴史を持つ「利庵」の伝統と、細部にまでこだわる職人技の結晶と言えるでしょう。懐かしさと新しさが共存する「利庵」は、ゆったりとした時間の流れの中で、訪れる人々に心温まる美食体験を提供する、特別な空間です。