れきしぶんか

進化するモダンかき氷の世界:歌人・穂村弘が体験する独創的な味わい

日本の夏の風物詩であるかき氷が、近年、その伝統的な枠を超え、革新的な進化を遂げています。旬の素材を贅沢に用い、独創的なシロップやクリームを組み合わせることで、まさに新次元の味わいへと変貌を遂げたモダンかき氷。歌人である穂村弘氏が、この魅力的な世界を深く掘り下げ、その実態を探ります。

冷たいデザートが織りなす、驚きと感動のハーモニー

かき氷の新しい地平:創造性に満ちた風味の探求

長きにわたり愛されてきたかき氷は、今、旬の果物を惜しみなく使い、シロップやクリームに斬新な食材を組み合わせることで、個性豊かな「モダンかき氷」として開花しています。この新たなムーブメントの真髄を、著名な歌人である穂村弘氏が体験し、その魅力を探求しました。

穂村弘氏の幼少期の思い出と進化する味覚

幼い頃からジュースの氷を噛むのが好きだったと語る穂村弘氏。彼は旅先で各地のかき氷を味わうことを趣味としており、台湾の餅やピーナッツ入りのもの、沖縄のフルーツ系や金時豆のぜんざいなど、様々な地域特有の味わいを記憶に刻んできました。そして今、見た目も味も格段に豪華になったモダンかき氷に、彼はどのような感想を抱くのでしょうか。

「あずきとこおり」:パティシエの技が光る芸術作品

穂村氏が訪れたのは、日本国内外から多くの客が訪れる人気のかき氷専門店「あずきとこおり」。店主の堀尾美穂氏は、ミシュラン二つ星レストランで培ったパティシエとしての高度な技術を駆使し、いくつもの要素を巧みに組み合わせた独創的なかき氷を生み出しています。その作品は、豊かな香りと多様な食感のアクセント、そして滑らかな口溶けを特徴とし、まさに芸術的な美しさと美味しさを兼ね備えています。

「苺とシブースト」がもたらす温かい驚き

特に注目すべきは、モダンかき氷の新境地を開く「苺とシブースト」。この一品は、シブーストクリームと軽やかなパイ生地が層をなし、食べ進めるごとに新鮮なイチゴ、ゼリー、そしてメレンゲが顔を出します。一口ごとにイチゴとミルクの風味が変化し、まるで楽しいアンサンブルを奏でるかのようです。この冷たいデザートを口にした穂村氏から、意外にも「温かい」という感想が漏れました。これは、氷の冷たさとは対照的な感覚ですが、堀尾氏によれば、冷たいかき氷では香りが伝わりにくいという課題を克服するため、イチゴの風味を最大限に引き出すミルフィーユのような構造を取り入れているとのことです。

富塚晴夫写真展「富嶽三十六景」和紙に映し出された富士の息をのむような美しさ

霊峰富士山は、日本国内のみならず世界中の人々を魅了し続けています。葛飾北斎の「冨嶽三十六景」や安藤広重の「富士三十六景」といった浮世絵の傑作に想を得て、写真家・冨塚晴夫氏が独自の視点で捉えた写真展「冨塚富獄三十六景」が開催されます。

冨塚氏が浮世絵の世界に触れたのは、2005年10月にEU・日本文化交流年記念としてハンガリー国立美術館で開催された「FUJIYAMA」展がきっかけでした。この展覧会では、葛飾北斎と安藤広重の作品とともに、冨塚氏自身の富士山写真三十六景が展示され、大きな反響を呼びました。そして昨年5月、岡田紅陽写真美術館での佐藤ちえこ氏の「写真±想像の世界」展を訪れた際、和紙プリントの専門家である西嶋和紙の笠井伸二氏(山十製紙)と出会います。山梨県富士川沿いの身延町西嶋で300年以上にわたり受け継がれてきた手漉き和紙の品質に感銘を受けた冨塚氏は、自身の作品を和紙にプリントすることを依頼しました。山十製紙の熟練した技術によって生み出される、水晶の微粉による独特の光沢感や、ミツマタを原料とするわずかにアイボリーがかった色合い、そして絶妙な厚みは、長年の経験がなければ実現し得ないものです。これらの和紙に美しく表現された富士山の写真は、冨塚氏の意図通りの仕上がりとなりました。冨塚氏は、「風景写真、特に富士山のような存在感のある被写体は、安定した二等辺三角形の構図が多く、個性を出すのが難しいと感じています。現代では人工物も増え、昔のような美しい姿を捉えることが一層困難になっています。そうした中で、往時の浮世絵に敬意を表しつつ、西嶋和紙を用いて新たに36枚の富士山の表情を表現しました」と語っています。

北斎や広重の時代から長い年月が流れ、富士山を取り巻く環境は大きく変化しましたが、その雄大な姿は今もなお人々を惹きつけてやみません。この写真展では、和紙という日本の伝統的な素材を通して、現代の「富嶽三十六景」が提示されます。鑑賞者は、和紙に宿る温かみと、時代を超えて輝き続ける富士山の美しさに触れることができるでしょう。ぜひこの機会に、冨塚晴夫氏が織りなす富士山の新たな世界を、ご自身の目で確かめてみてください。この展覧会は、岡田紅陽写真美術館、小田原三の丸ホール、鎌倉芸術館にて順次開催されます。

この展示は、日本の伝統文化と現代アートが融合した、心揺さぶる体験を提供します。富士山の不変の美しさと、それを表現する写真家の情熱が、鑑賞者の心に深く響くことでしょう。このような芸術作品を通じて、私たちは自然の壮大さと人間の創造性の無限の可能性を再認識することができます。美は常に私たちを鼓舞し、日々の生活に喜びと感動をもたらしてくれるのです。

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杵島家の夏の味覚:みょうがと新れんこんの甘酢漬け

杵島家三代の料理家、杵島直美さんときじまりゅうたさんが、亡き祖母である家庭料理研究家・村上昭子さんの記憶と共に、長年受け継がれてきた杵島家の味を紹介します。今回のテーマは、杵島直美さんが手掛ける、夏野菜みょうがを用いた「みょうがと新れんこんの甘酢漬け」。昭子さんが毎年夏に作っていたみょうがの甘酢漬けを元に、直美さんが日々の食卓に少量で楽しめるよう工夫を凝らしたレシピを、二日間に分けてお届けします。

夏の暑い時期にぴったりのさっぱりとしたおかずとして、杵島直美さんが選んだのは旬のみょうがを使った甘酢漬けです。彼女の息子であるきじまりゅうたさんとの会話から、庭で育ったみょうがを祖母の昭子さんと共に漬けていた幼少期の思い出が蘇ります。薬味としてだけでなく、新しょうがと合わせた「がり」にするなど、色鮮やかな保存食として楽しんでいたそうです。保存食作りは手間がかかるものですが、直美さんは少量であれば気軽に作れるようにと、れんこんを加えてよりおかずとして楽しめるようにアレンジしました。この手軽さが、忙しい現代の食生活にも寄り添う杵島家流の知恵と言えるでしょう。

この甘酢漬けの特筆すべき点は、みょうがを軽く茹でた後、熱いうちに漬け汁に浸すという直美さんの工夫にあります。この一手間が、みょうがを美しい薄ピンク色に染め上げ、共に漬け込むれんこんにも鮮やかな色合いを与えます。シンプルな工程ながらも、見た目にも美しい一品に仕上がる秘訣がここにあります。熱いみょうがが漬け汁に触れることで、風味がより一層引き出され、さっぱりとした中に奥深い味わいが生まれるのです。

この甘酢漬けは、単なる料理の枠を超え、杵島家の歴史と愛情が詰まった一品です。旬の食材を大切にし、家族の健康を願う心が込められています。食を通じて人々の心を豊かにし、日々の生活に彩りを添える家庭料理の温かさを、このレシピから感じ取ることができます。料理は、世代を超えて受け継がれる文化であり、家族の絆を深める大切な要素なのです。

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