リチウムイオン電池による火災事故、廃棄物処理時に年間約4万件発生





2025年度における廃棄物処理施設でのリチウムイオン電池を起因とする発煙・発火事故が、およそ4万件に達したことが、環境省による最新の調査で判明しました。これは前年度と比較して1万6000件を超える大幅な増加であり、事故発生の主な原因として、モバイルバッテリーや加熱式たばこなどが挙げられています。現状では多くの自治体でこれらの電池の適切な分別回収体制が整っておらず、早急な対策の必要性が強く示唆されています。
環境省が2026年4月から5月にかけて実施したこの調査は、全国1741の市町村(特別区および事務組合を含む)を対象に行われ、すべての自治体から回答を得ました。調査結果によると、2025年度の1年間で、廃棄物処理の過程においてリチウムイオン電池などに由来すると考えられる発煙・発火事故が計3万9282件発生しています。これらの事故のうち、職員または消防隊による消火活動が行われたケースが9456件、そして処理施設の散水装置などが作動して鎮火したケースが1万7792件でした。総発生件数は前年度から1万6000件以上も増加しており、その深刻さが浮き彫りになっています。
これらの火災・発火事故の大多数は、再資源化施設、特に破砕、選別、圧縮などの工程を行う場所で発生しています。多くのケースでは、リチウムイオン電池が市町村が定めた分別区分とは異なる方法でごみとして出され、処理施設の破砕機などで衝撃が加わることによって発火に至っています。具体的な品目別では、モバイルバッテリーが最も多く、続いて加熱式たばこ、コードレス掃除機、ハンディファンといった小型電子機器が上位を占めています。
今回の調査では、全体の13.8%に相当する240の市町村が「リチウムイオン電池などの分別回収を実施していない」と回答しました。これらの自治体のうち106市町村は、今後分別回収の導入を検討していると述べています。分別回収が行われていない理由としては、「組織体制の整備や人員確保の困難さ」「近隣に引き取り可能な事業者が存在しない」などが挙げられています。
リチウムイオン電池は現代社会に不可欠な存在ですが、その不適切な廃棄が火災という重大なリスクを引き起こしています。消費者が正しい分別方法を理解し実践すること、そして自治体が適切な回収・処理体制を構築・強化することが、この増加する火災事故を食い止める上で喫緊の課題となっています。