世界最高のワイナリーが贈る赤ワインと家庭料理のマリアージュ:驚きの新発見

ワインに対する深い知識を持たない筆者だが、今回、スペインを代表するワイナリーが手がける赤ワインと、それにぴったりの地元料理を味わう試食会に参加する機会に恵まれた。これまで「赤ワインは渋みが強く重いもの」という印象を抱いていたが、実際に料理と共に楽しんでみると、その飲みやすさと意外なほどに調和する相性に心底驚かされた。この報告では、ワイン初心者の視点から、その新鮮な体験と、この名高いワイナリーが持つ魅力の背景を探る。
今回の試飲セミナーで紹介されたのは、2026年9月8日に日本で発売されたばかりの赤ワイン「マルケス・デ・リスカル XR」である。このワインは、スペインのバスク地方に位置するリオハを代表する「マルケス・デ・リスカル」ワイナリーが丹精込めて作り上げた逸品であり、日本市場に新たな商品が投入されるのは10年ぶりのことだという。
グラスに注がれたワインを口に含むと、まず感じられるのは、フレッシュな果実の香りが心地よく広がる感覚だ。口当たりは驚くほど滑らかで、程よい渋み(タンニン)を残しつつも、するすると喉を通っていく。そして、このワインに合わせて提供されたのが、ワイナリーのある地域で古くから親しまれている「クロケッタ」だった。これはスペインの伝統的な家庭料理であり、日本におけるコロッケとよく似ている。ワイナリー内のレストランを監修するフランシスコ・パニエゴシェフの母、マリア・サンチェスが考案したとされるレシピに基づき、ハムと鶏肉を濃厚なベシャメルソースで包み込み、丁寧に揚げられている。サクサクとした衣を破ると、中からは温かいベシャメルソースがとろりとあふれ出す。このベシャメルソースが持つ穏やかな甘みが、ワインの果実味と絶妙に重なり合い、互いの風味を一層引き立てるのだ。
これまで「赤ワインには力強い赤身肉が合う」という固定観念があったが、今回の体験を通して、このワインのように軽やかなタイプであれば、揚げ物などの料理とも素晴らしいハーモニーを奏でることが理解できた。
この「マルケス・デ・リスカル」ワイナリーは、「World’s Best Vineyards 2024」で世界最高のワイナリーに選ばれている。単にワインの味が優れているだけでなく、その背景には深い歴史と文化が息づいている。同ワイナリーのアジア担当ディレクターであるカルロス・ダニエル・フェルナンデス氏によると、その評価を支える要素は主に五つあるという。
一つ目は、1858年の創業以来、「挑戦を恐れない」という精神でワイン造りを続けてきた歴史である。二つ目は、リオハで初めてミシュランの星を獲得したフランシス・パニエゴシェフが監修する食文化。地元の歴史と伝統が融合した「ガストロノミー」を提供している。三つ目は、建築家フランク・O・ゲーリーが設計した、個性的で斬新なチタン製の建築物だ。ワイナリー敷地内にあるホテル「シティ・オブ・ワイン」は、ワインボトルや周辺の山々をモチーフにしたデザインが目を引く。四つ目は、マリオットグループの最高級ブランド「ラグジュアリーコレクション」に属する同ホテルが提供する、質の高いホスピタリティ。そして五つ目が、バスク地方とリオハという二つの地域に根差した、独自の伝統と芸術が息づく文化である。ワインの品質はもちろんのこと、訪れる人々が歴史、建築、食を含めた空間全体を堪能できる点が、高く評価されているのだ。
今回の体験は、ワインそのものの風味だけでなく、その背後に広がる食文化や豊かな歴史に思いを馳せることで、普段の一杯が格別のものに感じられる貴重なひとときとなった。ワインは単なる飲み物ではなく、その土地の文化や人々の情熱が凝縮された芸術品であることを改めて実感した。