京都・祇園四条「鳥彌三」刷新オープン、伝統の水炊きと新コース






京都の歴史ある料理店「鳥彌三」が、2026年4月に装いを新たに再出発しました。創業から230年以上にわたり受け継がれてきた伝統の味はそのままに、新しい経営者のもとで現代の食文化に合わせた進化を遂げています。特に、鶏ガラと井戸水だけで作られる濃厚な白濁スープが自慢の水炊きは、その深い味わいを守りつつ、新たなコース料理として提供されます。このリブランディングは、単なる改装に留まらず、老舗の伝統と革新的な挑戦が融合した、新たな京都の美食体験を創出しています。
「鳥彌三」は、天明8年(1788年)に初代弥助が「かしわ屋」として開業したのが始まりです。以来、代々受け継がれてきた看板料理の水炊きは、一切の調味料を加えず、敷地内に湧き出る井戸水と鶏ガラのみで煮込むことで、白く濃密なスープを生み出しています。この独自の製法は、長年の経験と手間暇を惜しまない職人の技によって守られてきました。その味は、創業当時から変わることなく、多くの食通を魅了し続けています。
今回のリブランディングを牽引したのは、タイソンズアンドカンパニーの代表を務める寺田心平氏です。寺田氏は、台湾の百貨店での経験を経て帰国後、「T.Y.HARBOR」の経営再建を成功させ、現在は東京と京都で数々の人気レストランやカフェを展開する手腕の持ち主です。彼が「鳥彌三」の事業承継を決意したのは、2023年2月に四条河原町で「Kacto」を開業した際に、店舗の貸主が「鳥彌三」の先代であったことがきっかけでした。この偶然の出会いから縁が生まれ、3ヶ月後に事業継承の打診を受け、その伝統と将来性に惹かれ継承を決断しました。
事業継承後、寺田氏は先代との3年間の共同運営を経て、1年間の大規模な設計・改装工事を実施しました。この期間を通じて、伝統的な調理法や味の継承はもちろんのこと、現代の顧客ニーズに合わせたサービスや空間作りにも力を入れました。新しくなった「鳥彌三」では、夜のメニューとして「水炊きコース」(16,800円)を提供。このコースには、水炊きのほか、香ばしい皮せんべいや旬の食材をふんだんに使用した八寸、焼き物など、人気の品々が組み込まれています。さらに、日本酒や各地のワイン、和食に合うように特別に醸造されたクラフトビール、そして煎茶やすぎ黒文字茶といったドリンクメニューも刷新され、より洗練された食体験を提供します。
「鳥彌三」の再出発は、歴史と現代の融合を象徴するものです。伝統的な水炊きの製法と味を守りつつ、新たな視点と革新的なアプローチで、より多くの人々にその魅力を伝えることを目指しています。古都京都の風情を感じさせるロケーションで、時代を超えて愛される料理と、新しい息吹が加わった空間は、訪れる人々に格別な時間を提供してくれるでしょう。