京都丹後鉄道「丹後くろまつ号」: 海軍レシピが彩る絶景列車の旅

「丹後くろまつ号」で巡る、心躍る絶景と美食の旅
知られざる「海の京都」と「丹後くろまつ号」の魅力
京都府と聞くと、多くの人が歴史ある寺社仏閣や京都市内の風情を思い浮かべるかもしれません。しかし、日本海に面する京都府北部には「海の京都」と呼ばれる地域が広がっています。日本三景の一つである天橋立や舞鶴市を含むこのエリアは、丹後の豊かな自然と文化が息づく場所です。ここを走るのが、京都丹後鉄道(丹鉄)が誇る観光列車「丹後くろまつ号」です。この列車は、松をテーマにしたデザインが特徴で、美しい景色と地元ならではの食文化を同時に楽しむことができます。筆者も2026年秋冬コースの試乗会に参加し、その魅力を存分に体験しました。
水戸岡鋭治氏が手掛けた、和の美意識が光る列車デザイン
「丹後くろまつ号」は、丹後地方の美食と文化、そして四季折々の景観を満喫するための特別なレストラン列車です。車内には天然木がふんだんに使われており、温かみのある落ち着いた空間が広がります。列車に乗り込むと、移動そのものが旅の目的へと昇華されるような、心地よい時間が流れます。この独特なデザインは、数多くの鉄道車両を手がけてきた著名な工業デザイナー、水戸岡鋭治氏によるものです。松をモチーフにした渋みのある外観は、思わず写真に収めたくなるほどの魅力に満ちています。
海軍レシピが織りなす、遊び心あふれる特製ランチコース
2026年秋冬の特製ランチコースは、「海軍レシピで巡る列車の旅」をテーマにしています。舞鶴に残る海軍料理のレシピを基に、現代的なアレンジが加えられた料理が楽しめます。天橋立を出発し、約1時間45分かけて西舞鶴へと向かう道中、窓外には丹後の海や山の雄大な景色が広がり、その中で一皿ずつ丁寧に料理が運ばれてきます。このランチコースを手がけるのは、舞鶴市を拠点とするビストロ「株式会社ツクヨミラシン」。肉じゃがやカレーコロッケといった海軍ゆかりの料理に加え、前菜、クラムチャウダー、茶碗蒸し、豚角煮まん、ローストビーフ丼など、地元の食材をふんだんに使った趣向を凝らしたメニューが並びます。特に目を引くのは、「丹後くろまつ号」をイメージした和牛ハンバーグです。イカスミと松の実を使った黒いソースは、「くろまつ」の名にふさわしい一品。料理の提供時にはアテンダントが丁寧に説明してくれるため、食事への期待感が高まります。さらに、沿線の見どころについても教えてくれるため、窓から流れる景色をより一層楽しむことができます。