小宮山雄飛の「おつまみ美学」:酒と肴を語る夜




音楽界きっての美食家として知られるホフディランの小宮山雄飛氏が、初の書き下ろしグルメエッセイ『小宮山雄飛のツマミ百景』を刊行しました。この著書には、氏が長年愛し続けてきたお酒と肴に対する独自のこだわりが凝縮されています。出版を記念して開かれたトークイベントでは、著名な酒場ライターであるパリッコ氏がゲストとして招かれ、二人の間で熱のこもった「おつまみ談義」が展開されました。彼らが語り合ったのは、単なる料理の紹介にとどまらず、お酒の席を豊かにする深遠な肴の魅力であり、参加者はその美食哲学に深く共感しました。
小宮山雄飛とパリッコが語る、おつまみの深い世界
トークイベントは、乾杯から始まり、『ツマミ百景』の主題である「身近でありながら奥深いおつまみの世界」へと参加者を誘いました。旅行先で美味しいものを存分に味わいたいが故に、移動中の新幹線ではあえて軽食で済ませるという二人の姿勢が明らかになりました。パリッコ氏は、駅弁のボリュームを避けて崎陽軒の「ポケットシウマイ」や新発売の「ギヨウザ」を選ぶと語り、その手軽さと美味しさを絶賛しました。一方、小宮山氏は「ゆで卵一択」と答え、豪華な弁当を横目にゆで卵を食べる自分に満足感を覚えるというユニークなエピソードを披露しました。これは、夜の飲酒のために朝からゆで卵と白湯で過ごすという、彼のお酒とつまみに対するストイックなまでの情熱を示しています。
小宮山雄飛氏の「通常はおつまみと見なされないものをあえておつまみとして楽しむ」という独自の哲学が、このイベントで明確に語られました。彼は、単に空腹を満たすためではなく、お酒を最大限に楽しむための準備として、移動中の食事も厳選していると説明しました。たとえば、新幹線での移動中には、他の乗客が豪華な駅弁を楽しむ中で、彼は静かにゆで卵を二つと白湯で済ませることを好み、それが夜の楽しい酒宴への期待を高める行為だと語りました。この禁欲的なまでの姿勢は、彼がおつまみをいかに深く愛し、その瞬間を大切にしているかを示すものであり、参加者にとって新たな美食の視点を提供しました。
料理の潮流:モテる料理は「肉じゃが」から「きんぴらごぼう」へ
かつては「モテる料理」の代名詞とされていた「肉じゃが」ですが、小宮山雄飛氏の視点では、その座が「きんぴらごぼう」へと移行していることが示唆されました。友人の田中みな実さんの自宅で振る舞われた、極細に切られたきんぴらごぼうに小宮山氏は深く感銘を受けました。彼は、その細さに「できる女性」の細やかな配慮を感じ取り、初めて自宅に招いた男性に出す一品として、完璧な選択だと語りました。パリッコ氏もこれに同意し、肉じゃがのようなあからさまなアピールよりも、繊細なきんぴらごぼうの方が相手の心に響くと述べました。小宮山氏は、他の手の込んだ料理を用意せずとも、この細いごぼうのきんぴら一つで、相手の心を掴むことができると力説しました。
小宮山氏は、田中みな実さんの手料理である極細のきんぴらごぼうから受けた衝撃を鮮明に語りました。その繊細な仕上がりに、「やはり、気の利く女性は、ちょっとした一品でもこれほどまでに細部にこだわるのか」と感銘を受けたと述懐しました。彼は、初めて異性を自宅に招く際、肉じゃがのような「あざとさ」が感じられる料理ではなく、この細切りきんぴらごぼうを出すことこそが、相手を魅了する秘訣であると持論を展開しました。パリッコ氏も、肉じゃがの分かりやすさよりも、きんぴらごぼうのさりげない上品さに魅力を感じると同意し、二人は、このシンプルながらも奥深い一品が、現代における「心をつかむ料理」の新たな基準となりうると結論付けました。