個人向け国債、金利上昇で人気急騰:資産運用の新たな選択肢に





近年、投資家の間で個人向け国債への関心が著しく高まっています。2026年の開始以来、その発行額は驚異的なペースで増加しており、8月には単月で1兆円を超えるという史上初の記録を樹立しました。この背景には、日本銀行が長らく続けてきた「異次元金融緩和」を終了させ、金利が再び上昇する市場環境へと移行したことがあります。安全な資産運用先を求める多くの人々にとって、個人向け国債は魅力的な選択肢として浮上しています。
個人向け国債、定期預金を上回る利回りを提供
個人向け国債は、最低1万円から購入が可能で、固定金利型(3年、5年)と半年ごとに金利が見直される変動金利型(10年)の3種類が毎月発行されています。財務省のデータによると、2026年1月から8月までの発行額は前年同期比で1.67倍の6兆1967億円に達し、既に前年一年間の総額5兆2805億円を上回っています。特に8月の発行額は1兆177億円と、2014年1月の商品多様化以降で最高額を記録しました。この発行額の増加は、個人投資家からの強い需要を明確に示しています。
日本銀行の植田和男総裁が2024年3月にマイナス金利政策を解除し、長期金利抑制策を撤廃したことで、市場金利は上昇基調に転じました。これにより、当時3年物0.05%、5年物0.25%だった個人向け国債の金利は、インフレ懸念も相まって、2026年9月発行分(8月募集)ではそれぞれ1.71%、2.06%まで上昇しました。ニッセイ基礎研究所の試算では、現在、個人向け国債の金利は銀行の定期預金と比較して1%から1.3%程度高い水準にあります。例えば、70歳代の平均的な定期預金保有額779万円をすべて個人向け国債に切り替えた場合、税引き後の年間受取利息は7万円以上増加すると見込まれています。ただし、購入後1年間は原則として解約できないため、緊急時の資金ニーズに対応できない点には注意が必要です。
政府も個人向け国債の販売促進に力を入れています。日銀が国債購入額を徐々に減らす中で、財務省は国債発行の新たな受け皿を必要としており、商品の多様化だけでなく、個人向け国債を少額投資非課税制度(NISA)の対象に加える検討も進められています。
現在の低金利時代において、多くの人々が安全かつ効率的な資産運用先を探しています。個人向け国債の金利上昇は、こうしたニーズに応える魅力的な機会を提供しています。特に、銀行預金だけでは物足りないと感じている方にとって、リスクを抑えつつより高いリターンを期待できる個人向け国債は、ポートフォリオの一部として検討する価値があるでしょう。ただし、流動性の制約や将来の金利変動リスクを理解し、自身のライフプランに合った選択をすることが重要です。