海外旅行中の事故発生率が30年間で3.4倍に増加、最高2530万円の医療費事例も

近年、海外旅行におけるトラブルの発生件数が顕著に増加しており、海外旅行保険の重要性が改めて浮き彫りになっています。ジェイアイ傷害火災保険が発表した最新データによると、過去30年間で海外旅行中の事故発生率は約3.4倍にも跳ね上がり、医療費の負担も大幅に増大していることが示されました。この状況は、旅行者を取り巻く環境が複雑化し、多様なリスクが増している現代において、保険が単なる「お守り」ではなく、不可欠な「ツール」としての役割を担っていることを強く示唆しています。
ジェイアイ傷害火災保険が1996年から継続して集計している海外旅行保険契約の事故発生状況によると、30年前には75人に1人だった事故発生率が、2025年度には22人に1人(同社海外旅行保険加入者の4.5%)にまで拡大しています。同時に、海外での医療費も高騰の一途を辿っており、2005年度の平均4.9万円から2025年度には1.7倍の8.1万円へと増加しました。同社の副社長である佃裕史氏は、この背景には渡航先の医療費事情、経済環境の変化、自然災害の増加、そして国際情勢の複雑化といった要因があると分析し、旅行のリスクが以前よりも広範になっていると警鐘を鳴らしています。
補償内容の内訳を見ると、2025年度に最も多かったのは「治療・救援費用」で、全体の51.8%を占めました。前年度からは5.8ポイントの減少を見せたものの、依然として最大の割合を占めています。次いで多かったのは「携行品損害」で27.3%となり、前年度から2.6ポイント上昇しました。これら二つの項目で全体の事故の約8割を占めており、海外旅行中に遭遇する主なトラブルの内容が浮き彫りになります。
地域別の傾向も興味深い点です。「治療・救援費用」が占める割合は、アジアで71.0%、ハワイで60.9%、オセアニアで75.6%と高い数値を示しています。一方で、欧州では38.1%と比較的に低い割合にとどまりました。これに対し「携行品損害」は欧州で36.7%と高めであり、グアム・サイパンでは「治療・救援費用」の42.9%を上回る43.3%を占めるなど、地域によってトラブルの傾向が異なることが示されています。
特に注目すべきは、高額医療費が発生した事例です。2025年度の最高額はハワイでの事故で、支払額はなんと2530万円に上りました。この事例では、旅行者が足の炎症性疾患で救急車により搬送され、約3週間入院。家族が駆けつけ、帰国時には医療搬送が必要となる事態となりました。2位の事例もハワイで発生し、同様に足の骨折により救急搬送され、約1ヶ月の入院と家族の同行、高額な医療費が発生しています。
これらの高額化の背景には、医療費が高額な北米やハワイといった地域での事故発生、長期にわたる入院や集中治療室の利用、さらには医療スタッフの付き添いを伴う医療帰国などがあると分析されています。このような状況を受け、同社は海外旅行保険が単なる「万一の備え」という認識を超え、現代の海外旅行においては「必要不可欠な安全保障ツール」であると強調しています。