「装飾の魂」展:縄文からねぶたまで、ユーロ=アジアの文様が織りなす美の宇宙

人間が古来より「装飾」という行為に心を惹かれてきた理由を探る展覧会、「装飾する魂 ユーロ=アジア世界をつなぐ文様の宇宙―縄文、ケルトから、ねぶたまで」が青森県立美術館にて開催されます。本展は、数万年にもわたる人類の歴史の中で育まれてきた「希望と祈りの美」を、多様な文様や装飾品を通して紐解く試みです。多摩美術大学名誉教授である芸術人類学者の鶴岡真弓氏が監修を務め、縄文時代の傑作からケルトの精緻な装飾写本、そして現代のねぶたまで、東西の文化を結びつける装飾の普遍的な精神世界に光を当てます。来場者は、時空を超えて受け継がれてきた人類の創造力と生命への深い敬意を肌で感じることができるでしょう。
本展の目玉の一つは、北海道函館市所蔵の国宝「中空土偶」です。その全身に刻まれた複雑な文様は、縄文人が抱いていた「生命の循環」への願いを現代に伝えています。また、日本の巨匠、棟方志功の代表作や、ロシアおよびサハリンの北方民族が手掛けた衣装や工芸品も展示され、北の地域における交易が育んだ文化の豊かさを示す「蝦夷錦」も鑑賞できます。これらの展示品は、異なる時代や地域の間にある文化的なつながりや、人類共通の精神性を視覚的に示してくれます。
さらに、この展覧会のために特別に制作された新作ねぶたも見逃せません。第七代ねぶた名人である竹浪比呂央氏による《NEBUTA 将門》は、高さ約4.5メートル、幅約6メートルという圧倒的なスケールで、青森の地で現代に息づく「装飾の魂」を表現しています。この壮大なねぶたは、古くから受け継がれてきた伝統と、現代における新たな創造が融合した芸術作品として、来場者に強い印象を与えることでしょう。
「ケルズの書」は、アイルランドのトリニティ・カレッジ・ダブリンに所蔵されている、800年頃に制作されたとされる豪華な装飾写本です。本展では、その精巧な装飾が施された写本のプロジェクション展示とファクシミリ版を通じて、ケルト文化が持つ独特の美意識と、細部にまでこだわり抜かれた職人技を堪能することができます。この書物に描かれた文様一つ一つが、信仰心や豊かな想像力を物語っており、来場者を古代の神秘的な世界へと誘います。
本展は、青森県立美術館の開館20周年を記念して開催され、2026年7月11日(土)から9月27日(日)までの期間、来場者を迎えます。通常の開館時間は9時30分から17時までですが、7月18日、8月15日、9月19日の土曜日にはナイトミュージアムが実施され、20時まで開館します(入館は19時30分まで)。地球上の広範な地域を「装飾」という行為が結びつけ、宇宙全体の一体感を感じさせるこの機会に、ぜひ会場へ足を運び、太古の昔から人類が抱き続けてきた創造の力と生命への祈りを体感してください。