コアラの魅力と淡路ファームパーク イングランドの丘:命をつなぐ飼育員の情熱

愛らしい大きな耳とつぶらな瞳を持つコアラは、見る者を和ませてくれます。しかし、彼らがなぜオーストラリア固有の種であり、限られたユーカリのみを食するのか、その理由はあまり知られていません。早川卓志氏監修の書籍『おいでよ!コアラ沼への招待状』は、コアラの生態から地球環境、さらには動物園が果たすべき使命に至るまで、多角的に探求しています。本稿では、同書で紹介されている「淡路ファームパーク イングランドの丘」の取り組みを通じて、コアラが持つ奥深い魅力と、その保護に尽力する人々の情熱に迫ります。ここでは、国内で唯一、体格の大きな南方系コアラと出会える貴重な場所として注目されています。
淡路島の美しい湖水地方をモチーフにした農業公園「淡路ファームパーク イングランドの丘」では、単なる動物展示に留まらない、来園者が動物と深く触れ合える体験を提供しています。ウサギやヒツジとの交流、季節ごとの収穫体験、ゴーカートなどのレクリエーションが充実しており、限定販売の「コアラの鼻くそ」や「コアラのクッキー」といったユニークなお土産も人気を集めています。現在、この園ではのぞみ、だいち(南方系)、ナギ、ウミ、ノゾム、ピーターの6頭のコアラが暮らしており、特に国内では珍しい大型の南方系コアラに会えることが大きな魅力です。飼育員は、南方系コアラの高齢化が進む中で、来園者に「生で見るからこそ感じられる特別な感動」を心に刻んでほしいと願っています。彼らはコアラが特に好むユーカリ「ゴニオカリクス」を園内で栽培・収穫するなど、細やかな飼育努力を重ねています。また、子どもたちの素朴な疑問にユーモアを交えながら答える「飼育員さんのすごいこたえ」シリーズは書籍化されるほどの人気を博し、学生との協同による「動物を体感できる洋服」の考案や、手作りの展示物など、来園者の動物への興味を深めるための創意工夫が随所に見られます。
大田康之園長は、当園が昭和62年に初めてオーストラリアから南方系コアラを迎えて以来、これまで12頭が来園し、3頭の赤ちゃんが誕生した歴史を振り返ります。しかし、時を経て現在では、日本国内で確認できる南方系コアラは当園の高齢の2頭のみとなり、将来的な繁殖の困難さに直面しています。「10年後、20年後も南方系コアラを日本で見てもらうためにはどうすればよいのか」という深刻な課題を抱えながらも、園長は目の前で穏やかに過ごすコアラたちの「今」を大切にすることの重要性を強調します。現在は、海外との協力体制を模索しながら、ここにいるコアラたちが、かつて当園にいた「みどり」のギネス長寿記録を更新できるよう、一日でも長く健康に過ごすことを願ってやみません。スタッフ一丸となって飼育や展示方法の改善に日々努め、一人でも多くの人にコアラの魅力を伝えようとする姿勢は、彼らの動物への深い愛情と使命感を物語っています。
淡路ファームパーク イングランドの丘は、コアラという魅力的な生物を通じて、生命の尊さや地球環境、そして絶滅の危機に瀕する動物たちの未来について深く考える機会を与えてくれます。動物たちの「今」を大切にし、次世代へと命をつなぐための努力は、私たち人間が共生する社会において、希望に満ちたメッセージを発信しています。