本田直之が巡る東京の現地メシ:上海発「威皇花雕酔鶏鍋」が六本木に上陸






東京は、まるで世界中の多様な文化が凝縮されたかのような街であり、海外旅行が難しい現代においても、異国の味覚を体験できる場所が数多く存在します。本田直之氏は、世界各国を巡り、その土地ならではの料理を深く追求してきた経験を活かし、東京で本場の味を提供する「現地メシ」の店舗を紹介するシリーズを展開しています。彼の探求の旅は、単なる食事に留まらず、それぞれの料理が持つ背景や文化、そして現地の人々がその味を愛する理由に迫ります。今回焦点を当てるのは、上海で絶大な人気を誇り、六本木に進出した広東料理店「威皇花雕酔鶏鍋」です。
「威皇花雕酔鶏鍋」は、広東省出身の創業者が2013年に上海で最初の店舗を開業しました。当時、辛味が特徴の火鍋が主流であった中国市場において、この店の鶏鍋はクリアなスープと花雕酒の豊かな香りが特徴で、新たなトレンドを生み出しました。特に、紹興酒の一種である花雕酒を用いた風味豊かな鶏鍋は、瞬く間に人気を集め、現在では上海市内に10店舗を展開するまでに成長しました。その人気ぶりは、中国最大級のグルメ評価アプリ「大衆点評」で5年連続で「必食店」に選ばれるほどで、上海では1日に平均3,500食もの鍋が提供され、朝から晩まで行列が絶えない繁盛店となっています。
この名店が日本に初めて上陸したのは2024年の上野・湯島店で、その後2025年11月には六本木店がオープンしました。日本在住の中国人や中国からの観光客を中心に、本場の味が東京で楽しめるという評判が広がり、両店舗とも予約が困難な人気店となっています。六本木店は、六本木通りから一本入った路地に位置し、色鮮やかな看板が目を引きます。店内は42席を用意し、壁一面に飾られた香港の夜景の写真は、訪れる客をまるで中国の街角にいるかのような気分にさせます。
この店の「花雕酔鶏鍋」を初めて味わう際には、まず具材を入れずにスープそのものを楽しむことが推奨されます。店員からも、最初にスープを一口飲むようにと案内があるほどです。このスープは、丸ごとの鶏一羽をベースに、ナツメ、クコの実、党参、朝鮮人参といった漢方食材と共に5時間かけて丁寧に煮込まれています。その上で、浙江省紹興地方で造られる黄酒の一種、花雕酒が加えられます。熟成された米酒である花雕酒は、その芳醇な香りとまろやかな口当たりが特徴で、鶏と薬膳の旨味が溶け込んだスープに深みを与え、独特の風味を醸し出しています。具材はオプションで追加でき、オーダーはすべて二次元コードを通じて行われます。
東京にいながらにして、本場中国の味を心ゆくまで堪能できる「威皇花雕酔鶏鍋」は、本田直之氏が提唱する「パスポートのいらない、現地メシ」のコンセプトをまさに体現しています。円安や物価高で海外旅行が難しい時代でも、私たちは東京の街で、異国の文化と食の魅力を存分に味わうことができます。