五反田の路地裏に輝く炭火焼肉ホルモン「まるは」:料理人の遠回りから生まれた王道の味

五反田裏路地に灯る、情熱の炭火焼肉
焼肉激戦区に立つ、秘めたる名店の軌跡
五反田駅からほど近い、賑やかな有楽街の奥まった「壱番街」に、「炭火焼肉ホルモン まるは」は静かに佇んでいます。一見すると見過ごしてしまいそうな立地ながら、一度足を踏み入れれば、そこはいつも客で賑わい、煙と芳ばしい肉の香りに満たされた別世界が広がります。店主の巴山顕宏氏は1981年愛知県生まれ。若くしてカナダで製菓を学び、帰国後は一時製造業に就くも、リーマン・ショックを機に再び料理の世界へ。フランス料理店やスペインバルでの研鑽を積み、2017年に念願の「まるは」をオープンしました。
内臓へのこだわりと、独自の仕入れ術
焼肉店にとって、良質な肉の仕入れは生命線。「まるは」開業当初、巴山氏は伝手がない中、芝浦市場に直接電話をかけ、取引を開始しました。特に内臓肉へのこだわりは強く、専門誌で見つけた「芝浦嵯峨正造商店」との出会いが転機となります。以来、自ら市場へ足を運び、最高の鮮度と品質を追求し続けています。最初は限られた部位から始まった仕入れも、今ではその種類と量が増え、コロナ禍を経て、さらに工夫を凝らしたメニュー展開がされています。
伝統と革新が融合する、絶品肉料理
「まるは」のメニューには、店主の肉への深い愛情が込められています。例えば、流行に左右されないクラシカルな骨付きテール(1,200円)は、骨ごと薄切りにして七輪で焼き、肉本来の旨味を存分に味わう逸品です。また、希少な和牛ハラミやサガリも提供され、特に2cm厚の特上和牛ハラミ(1枚1,200円)は、一枚から注文可能。しかし、焼きの難しさも考慮し、通常の上ハラミ(4枚2,700円)や、繊細な肉質のサガリ(1枚850円)もおすすめです。日替わりで提供される和牛4種盛りには、三角バラ、シンシン、トモサンカク、イチボといった部位が並び、美しいサシが食欲をそそります。
肉を引き立てる「お供」と至福の〆
「まるは」では、肉の味わいをさらに豊かにする「お肉のお供」も充実しています。カットレモン、おろしポン酢、九条ネギ、にんにく、青唐辛子スライス、生玉子など、多彩な薬味が用意されています。特に「炙りロース」(1,980円)と大盛りごはん(450円)の組み合わせは格別。軽く炙ったロースを生玉子にくぐらせ、白飯にのせて食せば、香ばしさとまろやかさが口いっぱいに広がり、最高のハーモニーを生み出します。焼肉の締めくくりには、味噌ダレでじっくりと焼き上げたホルモンの盛り合わせが欠かせません。ギアラのぷりぷりとした食感や、トロホルモンの脂の旨味が炭火で引き立ちます。そして、〆のスープは、なめこと岩のりがたっぷり入った滋味深い一杯で、心ゆくまで焼肉を堪能した胃を優しく癒してくれます。
五反田焼肉文化を牽引する、謙虚な職人魂
老舗洋食店から酒場、スナックがひしめき合う五反田は、近年都内有数の焼肉激戦区として注目を集めています。その中で10年目を迎える「まるは」の店主、巴山氏は「助走期間が長かったので、まだ気持ちは新人です」と謙虚に語ります。遠回りを経て培われた経験と、料理へのひたむきな情熱が、五反田の路地裏に新たな焼肉の王道を築き上げました。一見入りにくい「壱番街」の看板は、真の焼肉好きにとって、まさに最高の道しるべとなるでしょう。